12 2025

こよいは名酒場で 大人の寄り道を

|酒場探訪|

カバー特集

posted by 日経REVIVE

倉本康子さんの「酒場」GOOD LIFE
こよいは名酒場で 大人の寄り道を
|酒場探訪|

posted by 日経REVIVE

2025年11月30日

良い酒、良い場所、良い出会い
酒場のひとときは一期一会

古き良き姿を残す名酒場は、日本が誇る文化遺産といっても過言ではありません。一杯の酒に宿る人情と店の流儀。それらに引きつけられ今夜ものれんをくぐりたくなるのです。
酒場巡り歴31年の倉本康子さんに改めて聞きました。
─酒場の魅力ってズバリ、何でしょう?

NAVIGATOR

倉本康子

くらもと・やすこ1974年、東京生まれのモデル、タレント。女性ファッション誌を中心にモデルとしてキャリアをスタート。ファッション他、インテリアや収納グッズのプロデュース、酒場モデルとしての活動など幅広く活躍。趣味の酒場巡りは32年目に突入。現在BS-TBS「おんな酒場放浪記」にレギュラー出演中。

撮影/NAE.JAY 取材・文/澤村 恵 アートディレクション/本多康規(Cumu)

様々な人生が交錯する
だから酒場が好きなんです

女性目線で”一人酒”の楽しみを紹介する人気番組「おんな酒場放浪記」に番組スタート時から出演している倉本康子さん。根っからのお酒好き、飲む場が好きという倉本さんが、酒場に通うようになったのはお父さまの教えがきっかけだったといいます。

「父はよく飲みに出かける人で、いつも楽しそうにしていた記憶がありました。『酒場にはたくさんの出会いがあって、年齢や職業が違っても友達ができるんだよ。康子、これは人生の財産だよ』って言っていて。私もそんな財産が欲しいと幼心に憧れを抱いていました。あとはボトルキープをしてみたい! そんな思いをずっと持っていまして、20歳になり満を持して酒場デビュー。憧れの聖域に通うようになるのですが、父の言っていた通り!酒場での時間って一期一会。その時、そのタイミングで飲むお酒、いただくつまみ、居合わせる人、ふたつと同じことがなく、刹那的なところが人間味を感じられてたまらなく好きなんです」

今回倉本さんと伺ったのは、東京・湯島の老舗酒場、シンスケ。

「シンスケさん、本当にきれいでお酒もあてもおいしい名店ですよね。すっと背筋を正してもらえるような、でもちゃんとリラックスもできる。やっぱり老舗酒場は風格が違うなと感じます。31年酒場に通ってきて思うのは、お客さんがその店の空気を作っているということ。私の酒場通いの守備範囲は日本全国なんですが地方にも個性豊かな酒場があって面白いんです。地元の常連客の方々が作り上げる空気に交ぜてもらえるのが本当に楽しいしうれしくって。一人でその土地のお酒や名物メニューをいただきながら方言の混じった会話をBGMにして空間を楽しむ。最高の一人飲みのスタイルです」

酒場ののれんをくぐる時に倉本さん的に掲げている酒場の流儀のようなものはありますか?

「旅をするのも大好きで、街歩きもすごく好き。だから酒場まで歩くのはマイルールかもしれません。酒場がある街の雰囲気を歩いて感じているとすっと自然にのれんをくぐれるような気がしています。そしてどの酒場に行く時もおじゃまします、という気持ちを忘れずに。あとは店主の方と無理のない範囲でお話をして歴史やこだわりを聞いたりするのも勉強になります。あと一番大切なのは、酔っ払い過ぎないこと!ダラダラ飲まずに楽しく品良く。これをモットーにしています」

飲む

酒場のムードに身を委ねながら
飲むのも一興です


「老若男女、楽しくても騒いだりべろべろに酔っ払うのって格好悪いですよね。記憶をなくすことがあろうとも、人さまに迷惑をかけずにその場を楽しみます。酔うならスマートに」

シンスケのビールグラスは小瓶ならきっちり2杯注げる仕様に。「ちょっと余ったり、足りなかったりするのが嫌で、泡の配分もきれいに収まるようガラスの厚みなど木村硝子店さんのご協力で実現しました」と店主の矢部さん。注いでもらうと本当にきっちり2杯分!

食べる

初めましての食に出合えるのも
酒場の奥深き魅力です


「料理はどれも本当に美しく見た目からもおいしさが伝わります。濃厚な黒胡麻ペーストの上品な甘さが広がる『ほうれん草の胡麻和え』は、日本酒と合いますね。『したし豆』はからし醤油でほんのり辛みを加えるのが好き。こんにゃくと豆の食感の違いも楽しめます」

「お酒と一緒に何を食べるかも酒場巡りの楽しみの一つ。お店の思いがこもった定番や人気メニューがあると思うので一皿必ずいただきます。お店が出しているお酒とも合うので口福度が上がります」

自分の"好き"で恩返し
目指すはお散歩モデル!?

19歳からモデルとして活動を始め、ファッション界隈、インテリア界隈、酒場界隈とフィールドを広げてきた倉本さん。異なる業界をつなぐ共通点は”好き”ということ。

「私は昔から将来の夢や目標を掲げるタイプではなくて。目の前のことを一生懸命追いかけて走ってきたタイプなんです。何で今まで走り続けられたのかというと”好き”だからなんですよね。ファッションもインテリアも酒場もどれも情熱を注げるほど好きなこと。酒場に関してはもはやライフワークなのですが。仕事が終わったらダッシュでGOがお決まりなので(笑)。でも、好きが持つ原動力ってとても大きいと思っています。
30年以上活動してきて今思うのは、大好きな旅を通じて日本の魅力を伝えていきたいということ。日本酒や酒場もそうですが、全国各地を旅していると知られていない日本の文化や魅力がたくさんあるんです。それをもっともっと発信したいし伝えていきたい。私は歩くのも好きなので、”旅するお散歩モデル”とかどうでしょう?」

三度の飯より人が好き。そんな倉本さんの好きのベクトルはまだまだ未知数。年齢を重ねるにつれ”好き”が増え、アグレッシブにいられるのもすてきです。何か”好き”を探している方、名酒場探訪はいかがですか?

What's GOOD LIFE for you?
全力で楽しむ!

  • 「私の場合、好きなこと=仕事なので、日々公私区別なく過ごしています。だから、起きている時間全てを楽しい時間にしたい! そしてそんな毎日が続いていくことがグッドライフなのかなと感じています」

この記事は、2025年11月30日発行の日経REVIVE12月号に掲載された内容です。

取材裏話

11月号「酒場」倉本康子さん

ナビゲーターの倉本さんは休肝日なしでお酒を飲んでいるとのこと。年齢を重ねると家飲みの頻度が高くなりがちですが、倉本さんは外で飲むのがメイン、攻めています。“ボトルキープ”も久々に聞いた言葉です。ロケでお邪魔したシンスケさん、営業開始時刻の午後4時半には既にお店の前で待っている方々が。お客様はビジネスマンの2、3人組、一人で静かに飲んでいる方、近所の老夫婦とさまざまなお客様がいらっしゃるのも名酒場ならでは、です。