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コラム

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東京都美術館の歴史とトリビア 編

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2026年01月25日

日本初の公立美術館
東京都美術館の始まり

東京都美術館は、1926年に日本で最初の公立美術館として開館しました。美術は一部の専門家や限られた人々のものと考えられていた時代に、「誰もが美術に触れられる場」をつくろうとした点で、その存在は画期的でした。その実現を支えたのが、実業家の佐藤慶太郎です。石炭事業で成功を収め、「石炭の神様」とも呼ばれた佐藤は、私財を社会に還元すべきだという強い信念を持っていました。富は文化として次の時代へ手渡すべき——。その思想から、美術館建設のための寄付を東京府に申し出たのです。

東京都美術館は開館当初から、公募展を重要な柱としてきました。無名であっても、志ある表現者に発表の場を提供し、市民が主体となって美術と関わる仕組みを育んできました。「鑑賞する場」であると同時に、「参加する場」であること。この姿勢は、現在に至るまで一貫しています。

戦争や社会の変化を経て、美術館の役割もまた少しずつ広がっていきました。老朽化に伴う大規模改修を経て、2012年には新たな姿で再出発。展示だけでなく、アートを介したコミュニティーづくりや医療・地域との連携にも力を注ぎ、「すべての人のアートへの入り口」となる取り組みを重ねてきました。5月には開館100周年を迎えます。その歩みを振り返ると「時代に合わせて姿を変えながらも、理念は変えない」という姿勢がありました。佐藤慶太郎が託した、文化を社会に開くという志は、形を変えながら今も同館の根幹に息づいています。

国民に愛される東京都美術館
知られざる建築トリビア

日本近代建築の父、前川國男が手がけた東京都美術館。建築トリビアを3つご紹介します。

・永久性を追求するために
外壁に使われているタイルの表面には小さな穴が開いているものがあります。打ち込みタイル工法といってコンクリートと一体化させ剝がれにくくするもの。建築の永久性を追求したこだわりです。

・和服への配慮
館内の階段の手すりは角が取らられた緩やかなカーブを描いています。手触りの柔らかさに加えて着物のたもとが引っかからないようにという配慮からなのだとか。

・都市的な手法
建物の多くの空間を地下に配置するという都市的な手法を採用しました。これは上野恩賜公園の景観に溶け込むためなのだそうです。

参考資料:東京都美術館ウェブサイト他

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