今、また訪れたい 新シニア世代憧れの街
|銀座|
カバー特集
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近藤サトさんの「 銀座 」GOOD LIFE
何度訪れても背筋が伸びる街です
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2022年11月27日
20代にも50代にもフィットする
懐の深さと品格を併せ持つ銀座
「銀座が持つ街の力はオンリーワン」そう語る近藤サトさんと、和装で銀座散歩を楽しみました。
いつ来ても程よい緊張感がありつつも懐かしさや憧れを抱くという近藤さんに銀座との出合いや思い出などを聞きました。
NAVIGATOR
近藤サト
こんどう・さと1968年、岐阜県生まれのフリーアナウンサー。大学卒業後フジテレビに入社。98年にフリーに転身。情報・バラエティー番組のナレーターやコメンテーターとして活躍。YouTubeチャンネル「サト読ム。」では朗読をはじめ、着物の魅力についても配信している。
撮影/NAE.JAY 編集・取材/澤村 恵(編) ヘアメーク/若宮祐子
アートディレクション/本多康規(Cumu)
岐阜県の山あいにある町で生まれ育った近藤サトさん。幼少期から東京への憧れを抱き、大学入学と同時に満を持して上京。今年で36年を迎えました。
東京と一口に言ってもさまざまな街がある中で、近藤さんにとって特別なのが銀座。
「初めて銀座の街を訪れたのは18歳のときでした。私の大学の恩師でもあり、放送・劇作家として活躍されていた西澤實先生に連れられて。先生方は何をするにも銀座じゃないと、という世代でいらっしゃったんですね。コーヒーは銀座トリコロールじゃないと、とコーヒーやケーキをごちそうになり
ながら、銀座の昔話を伺って帰る。ただそれだけなのですが、今思えばとても貴重な経験でしたね。当時、東京の右も左も分からないながらに、これが銀座なのかと街が放つ気品に背筋が伸びたのを覚えています」
大学卒業後は一時、銀座の街を離れたこともあったものの、上京してから今までずっと憧れの場所であり、ハイライフの象徴だといいます。その原点は小説にありました。
「文学少女だったのですが、谷崎潤一郎や三島由紀夫、泉鏡花ら私が読んできた作家の小説には必ずと言っていいほど銀座の街が出てくるのです。
『千疋屋の前の柵をひょいっと飛び越えて』のような形で。どんな街なんだろう?と想像しますよね。ネットはもちろんない時代ですし、テレビの情報も少なかったですからね。小説に度々出てくる銀座の街への憧れはどんどん大きくなっていきました。だから実際に千疋屋を見たときには感動しましたね。これが銀座なのだと」
小説をたどるように銀座巡りをしてきた近藤さん。月日を重ね、いつからか行きつけのごはん屋さんができ、お買い物を楽しむ場所に。
「きょうおじゃました銀座若松も行きますし、鳩居堂も時々のぞくスポットです。和装の小物も銀座で調達。最近は新橋から銀座4丁目まで中央通りをよくお散歩しています。今、銀座っ
て地方のアンテナショップがいっぱいあるんですよね。故郷に近い長野県のショップでおやきを買ったり、アンテナショップ巡りが楽しいです」
銀座ってやっぱり特別
その気持ちはずっと変わらないですね
銀座たくみ[ 銀座8丁目 ]
「この水滴すてきですね。上品な色み、手に収まるフィット感もいい。銀座たくみさんには初めておじゃましましたが、何時間でもいられますね。日本の作家さんの作品をはじめ、世界のすてきな民芸品がいっぱい。ここではたくさんの新しい発見ができそうでワクワクしますね」
- 「東京、中でも銀座に憧れを抱くようになったのは小説がきっかけ。子供の頃読んだ小説には銀座の街の描写があって。どんな場所なんだろう? きっとすてきなところなんだろうなと想像していました」
時を重ねても本質は変わらない
銀座の街と人生と
古くは江戸時代の銀座役所に由来する銀座の地。明治2年の江戸町名改正で「銀座」と呼ばれるようになりました。以降150年余りの間、東京の中心地としてあり続けているのですが、時代の移り変わりとともにさまざまな変化もあります。
「上京して36年、コロナという未曽有の事態もあり、銀座の街も変わりましたよね。通っていたレストランや呉服店がなくなってしまったりと残念なこともありますが、時代なのかな、とも思ったり。でも銀座はまだ面影を感じられるのでいいですよね。銀座の柳があった場所、などのように建物が変わっても風情は残っていますから」
近藤さんといえば、和装をたしなむことでも知られています。
「着物は着るのもコスパ的にもハードルが高いですよね。分かります。で、習うより慣れよ、だと思うんです。個人的なおすすめは、綿の着物を選ぶこと。取り扱いも楽ですし、洗えますしね。銀座の街同様に、着物の世界もだんだんと変わってきています。ワンタッチで着られる着物もあるんですよ。
浴衣でも、作さ むえ務衣でもいい。和装にどんどん触れてほしい。そんなふうに思っています」
10代の終わりに上京し、現在50代。年齢を重ねてきて今、思うことは?
「20歳の頃の自分と50歳の自分。年を重ねて見た目は変わったけど、考え方とかパーソナリティーは変わらない。大きな希望やテーマなども持ってないの。日々の積み重ねですよね。それこそが人生だと思います」
- 「中央通りの歩道っていつできたかご存じですか? 1968年なんですが、実は小さく年号が書いてあるんですね。それを見つけたとき、同い年だとうれしくなり、銀座の街がより身近に感じられるようになりました」
銀座若松[ 銀座5丁目 ]
「くずもちやところてんもおいしいですが、やっぱり銀座若松さんに来たら元祖あんみつをいただかなくっちゃ。上品な甘さのあんこと黒蜜のバランスは何度いただいても感動しますね」と近藤さん。銀ブラ休憩におすすめの元祖あんみつ950円(税込み)。
鳩居堂[ 銀座5丁目 ]
えとがデザインされたオリジナルはがき。枚数限定なのでお買い求めはお早めに。写真上のはがき各88円(税込み)。白檀(びゃくだん)の香は1年を通して人気。写真下は線香ちとせ1430円(税込み)。
What's GOOD LIFE for you?
発見すること
- 「私にとって発見することが人生の大事なポイントです。というのも人生って毎日の積み重ねだと思っていて、日々どれだけいろんなものを発見できるかで人生の彩度や明度が変わってくると思うんです」
この記事は、2022年11月27日発行の日経REVIVE12月号に掲載された内容です。
取材裏話
12月号「銀座」近藤サトさん
ロケはちょうど外国人観光客への個人旅行解禁になった翌日でしたが、既にちらほらと訪日客が。撮影にお邪魔した銀座若松さん、銀座コアビルの1階奥にあるのですが、そこだけ昭和にタイムリップしたようなたたずまい。銀座へのお出かけ帰りに立ち寄る常連さんでにぎわっており、あんみつをいただいたのは何年かぶりでしたが、こういう午後の過ごし方もこれからの選択肢になりました。
記事内で紹介している場所
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店舗情報
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銀座たくみ
日本のみならず世界の民芸品に触れられる場所
日本と世界の手仕事の中から暮らしを豊かにする工芸品をセレクトしています。1階は主に日用品を扱っており、2階には作家ものの器や染織品などをラインアップ。作陶展や染織展など、展示会も開催しています。東京都中央区銀座8-4-2
[TEL]03-3571-2017 [営]11~19時(日曜・祝日 に営業する場合は~17時30分) [休]日曜、祝日 -
店舗情報
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銀座若松
創業から128年、変わらぬ味を提供する老舗
銀座で初の汁粉屋として明治27年に創業。創業時から変わらないあんこは、こだわりの十勝産小豆を使用。甘いけれどさっぱり食べられるのが特徴。汁粉、あんみつの他に、くずもちやところてんも人気。東京都中央区銀座5-8-20 銀座コアビル1階
[TEL]03-3571-0349 [営]11 ~18時(ラストオーダーは17時30分) [休]月曜、火曜 -
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鳩居堂
歴史ある香りと書画用品専門店
1663年創業のお香、書画用品、はがき、和紙などを取り扱う専門店。1階ははがきや便箋、和紙など文具類、2階はお香、線香、匂い袋や書画用品などを展開しています。東京都中央区銀座5-7-4 鳩居堂ビル1、2階
[TEL]03-3571-4429 [営]11~19時 [休]1月1~3日、 その他不定休