4 2023

日帰り旅を満喫できる
春のおすすめ行楽地

|鎌倉|

カバー特集

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小林 隆さんの「 鎌倉 」GOOD LIFE
日帰り旅を満喫できる春のおすすめ行楽地

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2023年3月26日

古都の中に点在する新しさ
唯一無二の雰囲気を醸す街

昨年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の影響で舞台となった鎌倉の街がふたたび注目されています。
古都のイメージが強い鎌倉ですが、新たなスポットやグルメも誕生しています。
「鎌倉殿の13人」で三善康信を演じた俳優の小林隆さんと春の鎌倉散歩を楽しみました。

NAVIGATOR

小林 隆

こばやし・たかし1959年、埼玉県生まれの俳優。 1988年に三谷幸喜主宰の劇団「東京サンシャインボーイズ」に参加し役者としてのキャリアをスタート。以降、テレビドラマ、映画、舞台で幅広く活躍。2022年には自身4度目となるNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に出演し三善康信役を演じた。

撮影/長野陽一 編集・文/澤村 恵 ヘアメーク/岩根あやの スタイリング/田中トモコ
アートディレクション/本多康規(Cumu)

今ふたたびおいしく新しい鎌倉へ

2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で鎌倉幕府の土台をつくったひとりである三善康信を演じた小林さん。鎌倉の街を訪れるのは久しぶりだとか。

「僕の一番古い鎌倉の記憶は、子供の頃。両親に海に連れてきてもらったのが初めてだったかな。海無し県で生まれ育ち今もずっとそこで暮らしていますから、海への憧れみたいなものがずっとありますね。だから鎌倉というと古都と海というイメージでした」

昨年の大河ドラマで三善康信役を演じてからは少し見方が変わったそう。

「もともと歴史に興味があり、人名辞典を見るのが好きだったりするんですけど、三善康信役を演じるにあたり自分なりに改めて勉強したんです。時代的に和歌かなと思って百人一首を学んでみたり。それを踏まえて鎌倉の地に足を踏み入れている今は、より歴史の重みを感じます。一方で、きょうで4度目の鎌倉なんですが、”ただいま”と言いたくなるような懐かしさやふるさとのような感覚もあります」

この日はあえて電車に乗って鎌倉を目指したという小林さん。

「今までだったら車でぴゅーんと来ていたと思うんですが、あえて電車に揺られるのもいいかなと。北鎌倉駅あたりからぐっと古都のムードに変わりますよね。駅を降りて小町通りのにぎわいに驚きつつ、歩みを進めると変わらずたたずむ鶴岡八幡宮や段葛、由比ケ浜に続く若宮大路があって。僕の記憶にある鎌倉と、新しいお店や若者がつくり出す今の鎌倉のムードがいい具合に混ざり合って心地よさを感じました。あえて電車で来て街を歩いておいしいものを食べる。歴史と新しいものの両方に触れて学び、吸収する。そんな鎌倉散歩、新シニア世代にいいんじゃないでしょうか」

  • 「三善康信役もそうですし、学生時代のヨットや最近ハマっている和歌など僕の人生に少しずつだけど確実に刻まれていく鎌倉。心の距離が近いというか、ふるさとの一部のような存在です」

鎌倉宮
鎌倉宮に初めて訪れたという小林さん。「鎌倉殿の13人で演じていた時代よりは後になりますが、なんでしょう。歴史はつながっていますからね。ちょっと背筋が伸びるような、それでいて帰ってきたぞ、みたいな不思議な気持ちです。静かで心落ち着く場所ですね」


  • オーナーの計らいでミニビールをごちそうになり、大喜びの小林さん。「ビールと麻婆豆腐、最高だ」
  • かかん 本格麻婆豆腐 鎌倉本店
    辛いものが大好きだという小林さん。「四川風の麻婆豆腐ですね。僕大好物なんです。うわあ、汗がじんわりにじむ、ほどよいピリ辛具合に、山椒のいいしびれ具合。白米が進みますね」

無理せず自分のペースでR60、
まだまだ学びたい

現在63歳とまさに新シニア世代の小林さん。ドラマ、映画と出演作が続き引っ張りだこですが、還暦を迎える少し前に予想しなかった出来事が。

「59歳のときに体を壊しましてね。僕、学生時代はヨット部でしたし、それこそ体力や健康には人一倍自信があったんです。だからショックでしたね。体力的にも精神的にも落ち込んだ時期がありました。でもね、年齢を考えたらそうだよな、そんなこともあるよなと徐々に受け入れられるように。それからかな、いろんなことがちょっとずつできなくなることは年齢を重ねれば仕方のないことと理解し、無理はきかないんだから、自分のペースでやっていこうと。時間がかかるのなら、その分前もって準備をすればいいのですから」

そんな小林さんが30年以上続けているのが、谷川俊太郎のエッセーを朗読しながらのウオーキング。

「谷川俊太郎さんのショートエッセーが150編集められた『ナンセンス・カタログ』というエッセー集があるんですけど、それをブツブツ朗読しながら歩いています。人がいない公園とかだと大きな声で読んだり。発声やセリフ回しの練習にもなって何より気持ち
がいいのです。

30編を記憶していて、そのときそのときでショートストーリーを読んでいます。ちなみに150編全部を覚えるつもりでいますけど、生きているうちに覚えきれるかな(笑)。
とまあ、もはやウオーキングが目的なのか、朗読が目的なのか微妙なところですが、これはこれからも続けていきたい大切な僕の習慣です」

定年退職という概念がない役者を生業としている小林さん。役をもらえる限り演じていたいと語ります。

「役者業に関しては僕たち同世代がもっと頑張ろうぜ、というのが今の率直な気持ちです。今の若い役者たちって本当にすごいの。刺激をもらっています。よし、またここから!と帯を締め直す感覚です。僕個人としては、いろいろと勉強していきたいなと思っ
ています。歴史もそうだし、和歌・短歌についても。谷川俊太郎さんのエッセーも覚えたいですしね。まだまだいろんなことを吸収していきたい。60代になり今そんなモードに入っています」

ただいま。と言いたくなる懐かしさ
鎌倉ってあたたかいですね

  • 「学生時代に情熱を注いだヨット。森戸から江ノ島までが練習コースでした。航路にはないものの、鎌倉の由比ケ浜は身近に感じていた場所。大河ドラマの撮影でイメージしていたのも由比ケ浜でした」

カフェ ミルクホール
コーヒー、紅茶はもちろん、手の込んだ洋食からスイーツに至るまで豊富なメニュー展開が魅力。中でも必食は自家製プリン。濃厚なキャラメルの味わいが歩き疲れた体に染みわたること必至。


ラッテリア・べべ カマクラ
「初めておじゃまするのでメニューを調べてきたんです。ビスマルクピザとブッラータチーズ、生ハムをいただきたいです」と小林さん。「チーズ、味が濃厚でそれでいて口当たりはさっぱりしていておいしい。ワインとも相性抜群ですね。ピザももちもちしていてペロッといけちゃう。幸せだあ」

What's GOOD LIFE for you?
人生のスパンより暮らしのスパン

  • 「人生100年時代といわれていますが、100歳まで生きるぞ! と人生長いスパンで考えるとちょっと苦しくなっちゃう気がしていて。日々の暮らしの中にある細々とした幸せを大事にしたいです」

この記事は、2023年3月26日発行の日経REVIVE4月号に掲載された内容です。

取材裏話

4月号「 鎌倉 」小林 隆さん

撮影当日は、快晴。
天気にも恵まれ、鎌倉さん散策を楽しみました。小林さんは気さくでお話も楽しく、終始笑顔。
この日はあえて電車で鎌倉に来られたという小林さんでしたが、美味しいものを目の前にワクワクしたり、隣のお客さんの料理を見て「おいしそう。また来たいなあ」と、常に自然体。おしいから食べて食べて!と、お裾分けいただいた「ラッテリア・ベベ」のしらすのピザ…。またすぐに食べたくなるおいしさでした。

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