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シャツの豆知識 編
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2022年09月25日
パンツを兼ねた下着だった
シャツの始まり
シャツの歴史を知れば、メンズファッションの変遷が分かるともいわれるほど奥が深いものです。
シャツの起源は古代ローマで着られていたチュニックだとされています。2枚の布を重ねたもので頭からかぶる、今のワンピースのような形をしていました。
その後、中世に入ると襟や袖がデザインされたものが誕生します。ラバやラフと呼ばれる顎下まで覆う装飾襟が貴族の間で一大ブームに。しかし、食事をする際に不便だったことから、顎下が開いた現在のシャツの原型といえる扇形のものへと進化していきます。
19世紀になると現代のシャツの原型ができます。今では襟付きシャツは正装のイメージがありますが、当時の欧州ではパンツを兼ねた下着扱いでした。というのも、シャツは上着の下に着るもので外からは襟しか見えていないので。上着を脱いでシャツ姿になるのは無礼と考えられていたため、下着同様だったのです。
ワイシャツは聞き間違い
日本のシャツ史は150年
1873年(明治6年)、横浜に寄港中の船に乗船していた西洋人が石川清右衛門という青年に白いシャツ(ホワイトシャツ)を譲りました。西洋人が言ったホワイトシャツをワイシャツと聞き間違え、それが日本に浸透していったといわれています。清右衛門は手に入れたワイシャツを解体して縫い直すことで構造を学び、ワイシャツを自作するまでに。港での聞き間違いから3年後、日本最古といわれるオーダーシャツ店大和屋を創業。
ちなみに清右衛門は自ら研究し、製作を続けたワイシャツには一度も袖を通さなかったとか。和装を貫き81歳でその生涯を終えました。
20世紀に入るとボタンダウンやクレリックなど、シャツの多様化が進みます。現代のシャツの大部分は20世紀以降に海外で誕生したものですが、日本発のシャツもあります。大正時代末期に医学博士の戸田正三がチロリアンシャツをもとに発明した戸田式開襟シャツです。
文字通り襟が大きく開いているのと裾を外に出して着るのが特徴。その時代にはとてもラフな装いでしたが、戸田の懸命な普及活動の結果1933年(昭和8年)ごろにはノーネクタイでも夏の正装とみなされるまでに。およそ90年前にはクールビズの概念が生まれていたのです。
参考資料:ワイシャツの百科事典ウェブサイト、大和屋シャツ店ウェブサイト