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HIROSHI SUGIMOTO : EXTINCTION

【企画展】杉本博司 絶滅写真

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2026年04月24日

杉本博司 《相模湾、江之浦》
2025年 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4×149.2cm
杉本博司 絶滅写真 HIROSHI SUGIMOTO : EXTINCTION
2026年6月16日(火)から東京国立近代美術館にて開催されます。

なにが“絶滅”しようとしているのか
杉本博司の原点、銀塩写真

写真、建築、舞台芸術の演出など、ジャンルを越えて活動を続ける現代美術作家、杉本博司(1948–)。その芸術の原点は、銀塩写真にあります。
確たるコンセプトに基づく、独自の表現による作品はまた、銀塩写真の技術としても頂点を極めるものであり、写真がデジタルに置き換わった今、その技法はまさに「絶滅が危惧される」ものと言えます。
本展では、杉本の活動初期(1970年代後半)から現在に至る銀塩写真約60点を展観します。

展覧会のみどころ

1. 初期から近作まで全13のシリーズを3章構成で展示
2. 初期代表シリーズ〈ジオラマ〉の新作はじめ世界初公開作品も多数
3. 制作の秘密を明かす「スギモトノート」と東京国立近代美術館所蔵の杉本作品全点を、所蔵品ギャラリー3階にてサテライト展示

「スギモトノート」:写真作品制作における、撮影時および暗室での作業工程の覚書を記したノート。1970年代半ばより記録は始まる。

杉本博司 HIROSHI SUGIMOTO

1948年生まれ。1970年渡米後、1974年よりニューヨークと日本を行き来しながら制作を続ける。初期代表作に〈ジオラマ〉​〈海景〉​〈劇場〉シリーズがある。2008年に建築設計事務所「新素材研究所」、2009年に公益財団法人小田原文化財団を設立。2017年には構想から10年をかけて建設された文化施設「小田原文化財団江之浦測候所」を開設。演出と空間を手掛けた『At the Hawk’s Well / 鷹の井戸』が2019年秋にパリ・オペラ座にて上演。
著書に『苔のむすまで』​『現な像』​『アートの起源』​『江之浦奇譚』​『影老日記』などがある。2001年ハッセルブラッド国際写真賞、2009年高松宮殿下記念世界文化賞(絵画部門)受賞、2010年秋の紫綬褒章受章、2013年フランス芸術文化勲章オフィシエ叙勲。2017年文化功労者に選出、2023年日本芸術院会員に就任。

展示構成

初期から近作まで全13のシリーズを3章構成で展示し、杉本博司の作品世界の展開をたどります。

1章 「時間・光・記憶」

1970年代から80年代に着手され、杉本の評価を確立することになった〈ジオラマ〉 〈劇場〉 〈海景〉の3つのシリーズなどにより、作品世界の始まりを紹介します。

杉本博司 《カリブ海、ジャマイカ》
1980年 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4×149.2cm

杉本博司 《U.A. プレイハウス、ニューヨーク》 1978 年 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4×149.2cm

杉本博司 《パレス・シアター、ゲーリー》 2015年 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4×149.2cm

杉本博司 《類人》 1994 年 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4×149.2cm

杉本博司 《アビシニアコロブス》 1980年 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4×185.4cm
2章 「観念の形」

人間の知性や想像力がつくりだしたさまざまな「かたち」を主題とした〈観念の形〉​〈スタイアライズド・スカルプチャー〉など90年代末から展開されたシリーズにより、作品世界が拡張・深化していくプロセスを紹介します。

杉本博司 《ワールド・トレード・センター》 1997年 ゼラチン・シルバー・プリント 149.2×119.4cm

杉本博司 《観念の形 0003 ディニ曲面:擬球をねじって得られる負の定曲率曲面》 2004年 ゼラチン・シルバー・プリント 149.2×119.4cm

杉本博司 《スタイアライズド・スカルプチャー 120[クリスチャン・ディオール、Bar、1947]》 2025 年 ゼラチン・シルバー・プリント 149.2×119.4cm
3章 「絶滅写真」

終焉を迎えつつある銀塩写真というメディアの始原にさかのぼる〈前写真、時間記録装置〉​〈フォトジェニック・ドローイング〉から、近作〈Opticks〉まで、6つのシリーズにより、杉本が予見する“絶滅”をめぐるヴィジョンの行方を探ります。

杉本博司 《Opticks 087》 2025 年 タイプCプリント 119.4×119.4cm

杉本博司 《ダイアナ、プリンセス・オブ・ウェールズ》 1999 年 ゼラチン・シルバー・プリント 149.2×119.4cm

杉本博司 《放電場 163》 2009年 ゼラチン・シルバー・プリント 149.2×119.4cm

杉本博司 《フォトジェニック・ドローイング017 屋根の輪郭線 レイコック・アビー 1835–1839 年頃》 2008年
トーニング・ゼラチン・シルバー・プリント93.7×74.9cm

杉本博司 《陰翳礼讃 98.0001》 1998 年 タイプCプリント 149.2×119.4cm
初公開の新作

杉本博司 《 ポコット族》
2025年 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4×185.4cm

本展では初期代表作として知られる〈ジオラマ〉​〈海景〉のシリーズ、そして〈スタイアライズド・スカルプチャー〉において、初公開となる新作の展示を予定しています。とくに杉本のデビュー作として知られる〈ジオラマ〉では、《ポコット族》などいくつかの新作を加えた構成により、1975年、シリーズの始まりからひそかに構想され、半世紀を超えてついに実現に至った、人類史をめぐる深淵なストーリーが初めて提示されます。

“絶滅”をめぐって

本展のタイトルでもある「絶滅写真」とは、銀塩写真というメディアの終焉と自らの作家活動の終幕を見すえて浮上した主題です。しかし本展で示される“絶滅”をめぐるヴィジョンとは、それにとどまるものではありません。それではいったい何が“絶滅”しようとしているのか? 半世紀にわたって写真というメディアによる表現の可能性を拡張・深化させてきた作家:杉本博司の作品世界の全体像を見わたす本展において、通奏低音として示される“絶滅”という主題にご注目ください。

このページ内の画像の著作権は、すべて © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi に帰属します。無断転載・複製を固く禁じます。

杉本博司 絶滅写真
HIROSHI SUGIMOTO : EXTINCTION

<開催概要>

会期:2026年6月16日(火) – 9月13日(日) ※会期中、一部の作品は展示替を行います。
会場: 東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
開館時間:10:00~17:00(金曜・土曜は10:00~20:00)入館は閉館の30分前まで
主催:東京国立近代美術館、日本経済新聞社
特別協賛:DIOR
協賛:セイコーグループ、サンエムカラー
特別協力:公益財団法人小田原文化財団、ギャラリー小柳
公式サイト:https://art.nikkei.com/sugimoto/
お問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)