大地の恵みを 肌で実感できる
|週末農夫のすすめ|
カバー特集
posted by 日経REVIVE
三浦理志さんの「畑仕事」GOOD LIFE
大地の恵みを 肌で実感できる
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2024年7月28日
大地に触れて心身をリセット
土いじりの魅力、再発見
土に触れることは健康増進に役立つと言われることや、田舎暮らしというライフスタイルに憧れる人が増えたこともあり、近年畑仕事が注目されています。
モデルであり、サーフ(Surf)&ノーフ(農夫)なライフスタイルを20年近く実践する三浦理志さんに畑仕事の魅力について伺いました。
NAVIGATOR
三浦理志
みうら・まさし1970年神奈川県出身のモデル。18歳のときに雑誌「Fine」でモデルデビュー。以降、雑誌、CM、ショーや広告など幅広く活躍。15歳から続ける趣味のサーフィンと20年近く続けている畑仕事はもはやライフワーク。近年は味噌づくりや養蜂も始めてさらに地球に寄り添う暮らしにシフト中。
撮影/オノデラカズオ 編集・文/澤村 恵 アートディレクション/本多康規(Cumu)
生きるを実感できる最高のライフワーク
湘南の街、辻堂で育ち、現在も海のそばで暮らしている三浦理志さん。今ではライフワークだという畑仕事ですが、興味が湧いたのは20代後半を過ごしたニュージーランドでの生活がきっかけだったとか。
「10代からモデルとして活動をしていたんですが、25歳になった頃ですかね。これから先、どうしていこう?と人生やキャリアについて考えていたタイミングがあって。15歳からサーフィンをしていたことと、叔父が暮らしていたという縁で、ニュージーランドで2年間暮らしてみることにしたんです。そこで目の当たりにしたニュージーランドの方々の畑との関わりや、サーファーたちの自給自足的な暮らしのスタイルに憧れを抱くようになりました。帰国後、サーファーの先輩から畑にスペースがあるからやらないか?と誘ってもらって。これもご縁ですよね。知識も経験もありませんでしたが、やりたい!という気持ちが勝り、ゼロからスタートしました」
先輩や隣の畑のオーナーから教わったりしながら、見よう見まねで始めた畑仕事。
20年近くたった現在は、じゃがいも、にんじん、きゅうり、ナス、たまねぎ、レタスなど、常時20種類ほどの野菜を育てるまでに。現在(取材時6月)は夏野菜の最盛期で、畑仕事も一番忙しいタイミングだとか。
「夏野菜は5月くらいから土を耕し、種を植え始めるんですけど、今ぐらいから8月ぐらいまでが収穫時期です。夏野菜って成長がとても早くて、きゅうりとか1時間単位で大きくなるんですよ。もう、びっくり。トマトは芽かきをしなくてはいけないとか、にんじんは間引くとか、ねぎは花が咲いたらダメなのでその前に収穫するとか。その他もいろいろと注意点や手をかけなくてはいけないことがあるんですね。種をまいて水をあげればOKじゃなくて、目をかけて、愛情をかけてあげないといけない。それがね、本当に大変なんです(笑)。特に夏は暑いし蚊も出るし、正直今日は畑行きたくないなぁなんて思う日もあるんですけど、それ以上に得られるものが大きいし、楽しいんです。目をかけ、手をかけ育ててきた野菜を収穫するときはやっぱりうれしいし、達成感も味わえます。また、土をいじり、野菜を育てながら自然の偉大さに触れられることは、自分自身の学びになっています。生き物を育てる大変さや自然にあらがうことはできないなということを、畑仕事を通してしみじみ感じるのです。本当に大変なんだけど、楽しいし、生きてるって感じられるんですよ!」
「畑仕事をしているといろんな生き物に出合えるんです。夏はカブトムシ、夕方になるとアマガエルが出てきたりも。その他、景色、気温なども含めて畑にいると季節の変化を鮮明に感じ取れます」
「ニュージーランドや海外のサーファーたちは自給自足の生活をしている人が多くて。彼らを見ていると、地球で暮らす人間の本来のあり方だよなと強く感じます。僕もいずれ、そんなふうになりたい」
将来は田舎で自給自足が夢
謙虚に暮らしていきたい
サーファーとして、農夫として自然を肌で感じることができる距離感で暮らしている三浦さん。ここ数十年で環境の変化も感じているとか。
「畑仕事をしていると気候に敏感になるようになって。やっぱりここ数年の猛暑やゲリラ豪雨など明らかに変わってきていますよね。その変化は野菜の出来にも関わっている気がしています。はっきりした原因は分からないのですが、今年はたまねぎが小さくて。気温が高すぎたのか、土が悪かったのか。いずれにしても野菜を育てていると、こういうトライ&エラーは度々起こるのですが、それが面白みでもあるし、やっぱり自然には逆らえないなと感じられる部分でもあるんです」
試行錯誤しながら畑と向き合う三浦さんは現在54歳。将来は田舎で自給自足をするのが夢だと教えてくれました。
「田舎の一軒家に引っ越して、家の前の畑で自分たちが食べる分の野菜を育てて生きていけたらなって思い描いています。足るを知るというか、多くは望まず、手の届く範囲で。自然のルーティンに身を委ね、気負わずに楽しく、ゆったりと。そんなふうに生きていけたら幸せですね」
育てる難しさ、いただく喜び。
自然の巡りと偉大さを目の当たりにし、感じることができる。
畑時間は学び多き、幸せなひととき。
25メートルプール1.5個分ほどの広さの畑を管理する三浦さん。「一年を通して旬の野菜を育てています。夏は自分で作った野菜で十分なのでスーパーではほぼ買いません。自分で育てた野菜はやっぱり愛着が湧きます。サラダ、炒め物、漬物、パスタなど、あらゆる料理でおいしく、ありがたく食べています!」
What's GOOD LIFE for you?
自然と遊ぶ
- 「サーフィンも畑も、やればやるほど自然に逆らっちゃいけないなと思うんです。人間があるべき姿に気付かせてくれるし謙虚にもなれるんです。そんな偉大な自然と遊べるってとても幸せなことだと思います」
この記事は、2024年7月28日発行の日経REVIVE8月号に掲載された内容です。
取材裏話
8月号「畑仕事」三浦理志さん
三浦さんが野菜を育てている畑は座間市にあります。撮影にお邪魔した畑では、なす、きゅうり、なす、トマト、など早くも夏野菜が取れ頃でした。その一方で、見慣れない姿の野菜も(写真参照)。人間の食べる都合で同じ姿になっていますが、本来は植物だったことを再認識。P2の写真にある赤大根はサラダで食すと、辛みが味わえます。そのほかハラペーニョ、小ジャガイモ、なす、きゅうりと、三浦さんの畑の野菜で夕食を作り、自給自足気分をちょっぴり味わえました。
- ズッキーニの花
- 茎が伸びたサニーレタス
記事内で紹介している場所