9 2025

じわじわきてます令和の発酵革命

|発酵ブーム再燃|

カバー特集

posted by 日経REVIVE

加藤紀子さんの「発酵」GOOD LIFE
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2025年8月31日

「自然と重なる」がキーワード
心身を中庸に導く発酵の世界

素材の力を引き出し、時間と微生物が育む発酵という営みは、どこか自然のサイクルと共鳴するものがあります。
それは新シニア世代にとって暮らしの原点を見つめ直すきっかけかもしれません。
なぜ今、発酵が人々を引きつけるのでしょうか。
発酵沼にハマっている加藤紀子さんに話を聞きました。

NAVIGATOR

加藤紀子

かとう・のりこ1973年三重県生まれのタレント。92年に歌手デビュー。2000年からパリへ2年留学。帰国後はテレビ、ラジオ、執筆活動など幅を広げて活躍。現在、TBS「ふるさとの未来」に出演中。12年から続けている無農薬野菜作りの様子をYouTube「加藤紀子畑チャンネル」で配信中。

衣装提供:トップス/LE PHIL(LE PHIL NEWoMan 新宿店)ネックレス/SASKIA DIEZ(LE PHIL NEWoMan 新宿店)ピアス/TUWAKRIM(805 ショールーム)ブレスレット/a wear JW(805 ショールーム)

撮影/オノデラカズオ 編集・文/澤村 恵 ヘア&メイク/松田美穂 スタイリング/岡田早苗  ートディレクション/本多康規

心身ともに浄化され、
整う感覚が心地いい

2012年から畑で無農薬の野菜作りをしているという加藤紀子さん。
畑作りを機に”手作り”の豊かさに開眼したとか。様々なご縁が重なって今度は味噌を作るように。発酵との出合い、そのきっかけは?

「お仕事で山形県へロケに伺った際に、お世話になった農家レストランのおかあさんと出会ったのがきっかけです。そのレストランではおかあさんが作ったお米、お野菜、お味噌など、手作りされたもので料理が提供されていて。しかもそのお店を60歳で始められたと聞いてすごい! と思ったんです。
何よりおかあさんの人柄がとても魅力的でまた会いたいとお伝えしたら味噌を作ってみる?と声をかけていただいて。それから12年間、毎冬味噌を仕込みに伺っています」

味噌作りを通して感じたことは何ですか?

「作り手の顔が分かる、工程が分かり、しかも自らの手で作るという圧倒的な安心感でしょうか。また、味噌作りには大豆、こうじ、塩が必要ですが、それぞれその土地で採れたものを使うというのも愛着が湧くといいますか、その土地の魅力が凝縮されていて、いとおしいのです。
日本全国気候・風土は様々ですから、その土地で作られた味噌は個性のある味わいを持っています。以前、宮古島で味噌作りの際に使うこうじを見せていただいたんですが、海が近いのもあってか自然な緑色なんです。
お味噌自体も奥深い味わいでおいしかった。こんなふうに味噌はシンプルな材料で作ることができるので、その土地その土地の風土が色濃く反映される食べ物だなと。それがとても興味深く、私をさらなる発酵沼へと手引きしてくれたように思います」

発酵の面白さや個性が見えてきましたが、加藤さんにとって発酵の魅力って何ですか?

「人間は菌がないと生きていけないじゃないですか。私たちを助けてくれる存在ですよね。実際、自分で味噌を作るようになってから心身の巡りが整い、とても健やかに過ごせている実感があります。
発酵というとなんだか難しく感じるかもしれませんが、日本酒とか焼酎から入るのも一考です。
日本人は昔から自然と発酵食品を取り入れているものの意識的に気が付いていないだけなんだと思うんですよね。いきなり手作り味噌やこうじを作るのはハードルが高いかもしれませんが、お酒が好きな方なら酒蔵を回ってみることから”菌活”を始めてみてはいかがでしょう?」


「発酵って循環だと思っていて。生きた菌が体内に入り整えてくれる。しかも手作りだと製作過程も全て見られるので、より自然と共鳴している感覚を得られますし感謝の気持ちも湧いてきます」

発酵とともに! 手作り
おばあちゃんを目指して

味噌作りをきっかけに発酵の世界に魅了された加藤さん。
他にも色々と発酵調味料に挑戦しているそう。

「愛知県でおしょうゆ作りをさせていただいたり、今自宅では塩こうじを作り調味料として常備しています。こうじ、本当はもっと色々作りたいんですが、冷蔵庫のスペース問題が……(笑)。
ただ、発酵調味料は味わいに角がないというか、まろやかでありながらちゃんと奥行きも感じられるんですよね。だから料理もどんどんシンプルになっていってそれがとてもおいしいんです。
それって野菜しかり、調味料が手作りだからだと思うんです。余計な手を加えなくても素材そのものを存分に味わえる。これって最高のぜいたくだなと感じています。自分で作って食べて畑や発酵と自身との往復書簡とでもいいましょうか。そんないわば文通のようなことをしていたら、もっと活用するためにどうしたらいいか?と知識をつけたくて薬膳を学び始めました。
今後は自分だけじゃなく周りの人々にも野菜や発酵の魅力を、説得力を持って伝えていけたらと考えています。これから先どこに住んでいるかは分からないけれど、どこにいても何でも手作りするおばあちゃんになりたいんです!そんな未来を想像しています」

発酵する年月の中にロマンがある。
だから滋味深く魅了されるのだと思います


「手作り味噌はお味噌汁や野菜スティックにつけたり焼きおにぎりにしたり、味噌こうじ漬けのような感じでお魚を漬けて食べたりしています。角がなくまろやかな味わいなので、そのままでも食材と合わせてもけんかせずにうまみを引き出してくれるんです」

「ほぼ毎日畑で作った野菜と手作り味噌でお味噌汁を作って食べています。ロケの日なども作って持参するようにしています。お味噌汁生活を始めて本当に心身ともに健やかで穏やかに過ごせています」

What's GOOD LIFE for you?
今日もいい一日だった

  • 「毎日いいことも嫌なことも色々あるけれど、嫌だったことは教訓にしてその日のうちに消化。プラスもマイナスもひっくるめて”いい1日だった”と思って終わりたい。そういう日々を積み重ねていきたいです」

この記事は、2025年8月31日発行の日経REVIVE9月号に掲載された内容です。

取材裏話

9月号「発酵」加藤紀子さん

加藤さん曰く、お味噌汁は飲むサラダ。具材は季節の野菜と豆腐が加藤さん流。野菜は温めると量が取れるので、体を冷やさず飲めるお味噌汁は、体調を整える効果が見込めます。発酵食品の味噌やしょうゆは、同じ発酵食品の日本酒同様、地方に根差した味わいがあります。スーパーの棚でよく見ると地方のメーカーの商品が多いことに気づきます。日常の調味料なので、いつもの商品に替え、時には違った味わいを試すと楽しみも広がります。