今こそ音楽を聴くゆとりを持ちませんか?
|もう一度ロックだぜ|
カバー特集
posted by 日経REVIVE
甲斐よしひろさんの「 ロック 」GOOD LIFE
今こそ音楽を聴くゆとりを持ちませんか?
posted by 日経REVIVE
2023年4月23日
自分を表現し続けるロックの世界
甲斐よしひろの一丁目一番地
学生時代に夢中になって聴いたロック、最近聴いていますか?
1974年のデビューから音楽で自らを表現し、伝え続けるロックミュージシャン、甲斐よしひろさんに「人生とロック」をテーマにお話を聞きました。
さあ、もう一度ロックしようぜ。
NAVIGATOR
甲斐よしひろ
かい・よしひろ1953年、福岡市生まれのロックミュージシャン。高校時代からバンド活動をスタート。1974年5月に甲斐バンドを結成し、「裏切りの街角」「HERO(ヒーローになる時、それは今)」「安奈」などヒット曲多数。バンド活動と並行して1987年にはソロ活動をスタート。2022年にはソロデビュー35周年を記念し、ベストアルバム「FLASH BACK」やBOX SET「HOT MENU」を発売。
撮影/吉澤健太 編集・文/澤村 恵 ヘアメーク/佐藤直雅(ビーサイド) アートディレクション/本多康規(Cumu)
ロックって自分の生き方そのもの
俺にしかない”色”を出していきたい
1974年、甲斐バンドとして21歳でデビューした甲斐さん。多くのヒット曲を世に生み出し、いくつもの記録を打ち立ててきました。50年近いキャリアを振り返ったとき、ターニングポイントだと思うのはデビュー前の19歳の頃だといいます。
「高校時代に友人とバンドを組んで音楽活動をスタートしたんだけど、この頃、地元福岡の照和というライブ喫茶でギグっていたんですね。ここでの活動が後のデビューにつながっていくんだけど、何がラッキーだったかってお金を払って聴きに来ているお客さんの前でステージに立つという経験を早くから積めたことです。お客さんはお金を払ってるわけだから、聴くも帰るも自由。だからってお客さん側に立ちすぎたパフォーマンスじゃダメなんだよね。余計な雑念を捨てて、自分が精いっぱい感じていることを精いっぱい表現するという一番当たり前のことを学べたというか、肌で感じ取れたのは大きかったですね」
当時の音楽界は歌謡曲が主流でロックは2割ほどしかない少数派。デビューするのも人気を得続けるのも実に厳しい時代。
「当時の音楽界の中で2割ぐらいしかないロックのフィールドで、どうマーケットを切り開いていくか、せめぎ合っていた時代でしたから。独自の世界観というのを早くつくり上げなきゃいけないと思っていました。それと同時に、10代の後半で自分が聴きたい音楽って誰も書かないんだなってことが分かってきたのもあって。聴きたい曲は書くしかないと。そうなるともう迷いがないよね。1年に3、4枚シングルを出してヒットさせないとバンドの存在証明もできませんでしたから。いばらの道といえばそうかもしれないね」
オリジナルであることにこだわり、大切にする甲斐さん。バンド活動と並行してソロ活動も同じだけ心血を注いでいます。ロックという同フィールド内でどうすみ分けているのでしょうか。
「甲斐バンドはね、ヒット曲もいっぱいある。それはすなわち王道ってことなんですよね。一方、ソロはチャレンジです。洗練されたポップス寄りの曲にラップやプログレッシブなどの要素をミクスチャーしていく、みたいな感じでチャレンジしてますね。その時代感を取り入れながら独自の世界を表現していきたいと思っています。つまりは自分の生き方を表現してるんですよね。だからオリジナルであることを大事にしたいし、こだわっています。それこそがロックなんじゃないかなぁ」
- 「バンドは王道、ソロはチャレンジ。もちろん、どちらも独自の世界観を構築することが大前提。ロックで俺は、俺たちはここにいるんだぞっていう存在証明をしてきました」
- 「誰かのまねじゃお客さんは離れていく。オリジナルの吸引力の強さに10代後半で気付けたのは良かったかな」
全ては体力あってこそ
ここからギア、上げていくよ
昨年ソロデビュー35周年、そして来年バンドデビュー50周年を迎える甲斐さん。現役を続けるために意識していることは何でしょうか。
「ステージでキレのある動きができる自分でいたいと心がけているので、必ずジムに行き、スイミングも含めトレーニングしています。歌うって体全体を使うんですよ。体全体を鳴らさなきゃならない。だからマッチョな筋肉はほどほどに。しなやかな筋肉を維持すべく体をつくっています。でもこれって全ての人に言えると思うんですよね。体力があれば何でもできるもの。
普通に働いている人も同じだよ。出世とか派閥とかいろいろ考え方があると思うんだけど、一番に必要なのって才能じゃないんですよ。体力。ここぞって時に踏ん張れる体力です。その次に時代を読む力や才能だと思っています。だから寝ることも重要。ある時期から7時間睡眠を心がけています。これからもキレよく全身を鳴らして歌い続けていきたいですからね」
今年70歳を迎えた甲斐さん。どんな未来を思い描いていますか?
「ミュージシャンとしても、個人としても、毎日をブラッシュアップさせながら生きていきたいと思っています。来年、甲斐バンドが50周年なんですね。だから今はその助走というか、50周年
に向けてギアを上げていくぞっていう気持ちでいます。幸いバンドメンバーも皆元気ですからね。7月には80年代に国技館でやったビートニクツアーのセットリストをそのまま日比谷公園大
音楽堂でやるっていうライブも。まだまだここから!」
誰もしたことのない場所でライブをするのが甲斐バンドの色。かつてない試みとして、ロックビートとオーケストラが交わる革新的なライブも実施。
ソロデビュー35周年として、ソロ楽曲とKAI FIVEのアルバム全10作品、さらに未発表ライブ音源や豪華ブックレットも付いたロックファンにはたまらないBOX SET「HOT MENU」も販売中。
LIVE INFORMATION
KAI YOSHIHIRO Billboard LIVE & Bottom LINE 2023
「EAST around WEST」
5月3日(水・祝)、4日(木・祝)、6日(土):ビルボード大阪
5月13日(土)、14日(日):名古屋ボトムライン
5月27日(土)、28日(日):ビルボード東京
6月3日(土):ビルボード横浜
今年で9年目を迎える甲斐よしひろビルボードライブシリーズ。
4月8日(土)からスタートし、全11日間22公演が開催中。
進化し続ける甲斐よしひろが奏でるビートに身を委ねてみては。
詳細はオフィシャルサイト https://kaisurf.com をチェック。
What's GOOD LIFE for you?
ブラッシュアップ
- 「好きな仕事を好きな仲間とやり続けながら、その中で家族も含めてですけどね、毎日をブラッシュアップしていけたらいいなと思っています。そういう人生が健やかなんじゃないですかね」
この記事は、2023年4月23日発行の日経REVIVE5月号に掲載された内容です。
記事内で紹介している場所