7 2024

パリ五輪開催で 再注目の街

|東京のリトルパリ、神楽坂|

カバー特集

posted by 日経REVIVE

大野均さんの「神楽坂」GOOD LIFE
パリ五輪開催で 再注目の街
|東京のリトルパリ、神楽坂|

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2024年6月30日

洗練さと親しみやすさと
文化が混ざり合う神楽坂とパリ

7月26日からフランスのパリを中心に五輪が開催されます。
世界が五輪で盛り上がりを見せる中、日本ではリトルパリと呼ばれる東京・神楽坂の街が注目を浴びています。元ラグビー日本代表でフランス観光親善大使を務めた大野均さんと神楽坂でパリを見つけに出かけました。

NAVIGATOR

大野均

おおの・ひとし1978年福島県生まれの元ラグビー日本代表。大学からラグビーを始め、2001年の卒業後、東芝ブレイブルーパスに入団。2004年に日本代表に初選出される。ラグビーワールドカップには3度出場。 日本歴代最多出場98という記録を持つ。現在は東芝ブレイブルーパス東京のアンバサダーを務めている。

さまざまな文化が融合しているのが
神楽坂とパリの共通点であり魅力

ラグビーの現役時代、フランス観光親善大使になってから合わせて10回以上の渡仏経験をお持ちの大野均さん。パリだけでなく、観光では足を運ばないようなフランスの地方の街なども訪れ、さまざまなフランスの顔を見てきました。

「いろんな思い出がありますが、ラグビー関連で一つ。ラグビーにはシックス・ネーションズという欧州6カ国対抗戦があるんですけど、それにかけて6ステーションズといってアルプスの山々にある6カ所のスキー場を回ってラグビーの試合をするというイベントに参加しました。欧州各国の代表選手や、学生などプロとアマチュアが交じって試合をするんですね。しかも夜に。雪で足を取られるからすぐ転ぶんですよ。なかなかインパクトのあるイベントですよね。夏はガロンヌ川で試合をしました。ウオーターラグビーってご存じですか?水上にフィールドが浮かんでるんですが、トライするには川に飛び込まなきゃいけないんです。
いずれもラグビーを広めるイベントだったのですが、フランスの方って面白いこと考えるなあと驚きました。街の印象はやっぱりパリはスタイリッシュ。
街ゆく人々もおしゃれで歴史的な建物も多く飽きない街ですよね。日本代表時代は合宿でフランスの結構な田舎町にも行ったことがありました。リモージュという街は、都会とは違ってのどかな時間の流れと風景があり日本の下町のような雰囲気を感じられてホッとできましたね」

東京のリトルパリといわれる神楽坂ですが、フランスとの共通点は?

「神楽坂には久しぶりに来たのですが、石畳の坂を歩いていたらパリを思い出しました。また、パリも神楽坂も自国のものだけじゃなく、多国籍な食が楽しめるところも似ているなと感じます。パリもフレンチだけでなく、中華料理やレバノン料理などいろんな文化がミックスされて街の空気感をつくり上げている感じがしましたね。神楽坂にもさまざまな文化を融合しているからこそのムードを感じます。カジュアルフレンチや料亭があったり。今日おじゃましたガレット屋さんもとてもおいしい! 美食の街ですよね」


「神楽坂もパリも歩いて面白いのは裏路地。迷路のような小道だったりするんだけど、奥まで行くとポツンとお店があったり。新しい出合いが潜んでいるのが魅力的です」

本家ブルターニュの味わいが楽しめるそば粉100%のガレット、トラディッショナル1850円(税込み)を頬張る大野さん。「ん~おいしい! そば粉だからか軽やか。アーティチョークや卵、バターが程よい塩味で絡み合ってシードルがすすむ!」

灰になってもまだ燃える
何歳になっても“まだいける”

大野さんは日本代表最多キャップ98という記録を持つレジェンドラガーマンでもあります。パリ五輪で行われる7人制ラグビーをどのような思いで見ていますか。

「2021年の東京五輪では、無観客でしたよね。やっぱりお客さんの声援があるのとないのとでは全然違うんですよ。今回は本来の五輪らしい環境でプレーできると思うので、その中で選手たちがどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、とても楽しみです」

大野さんには、“灰になってもまだ燃える”という座右の銘があります。

「社会人2年目の時に見た、アメフト映画に出てきたセリフなんです。ラグビーをやるマインドに通じるものがあるなと思い、練習がきつい時、試合終盤のつらい場面でも、まだまだやれる!と自分を奮い立たせていました」

“灰になってもまだ燃える”精神は現役を退き、フリーランスとして独立した今も根底にあるといいます。

「42歳で現役を引退した後、3年間会社に残り、業務に従事していました。このまま定年まで職務を全うすることも考えたのですが、ラグビーで培った経験や、日本代表最多キャップという記録がある中で、自分にしかできないことがあるんじゃないかと思い、昨年独立したんです。今、46歳で人生折り返しのタイミングですが、周りの先輩方を見るとまだまだ自分なんてひよっこだし若い。これからたくさんの方と出会って、学ばせてもらっていろんなことを吸収したいと思っています。まだまだここからという気持ちに今は満ちあふれています」

アグレッシブに人生を切り開くために意識しているのが運動なのだとか。

「引退してから気づいたんですが、体を動かす時間って意識しないと持てないですよね。やる気が出ないなという日でも運動するとスイッチが入るので朝一の運動はルーティンにしています。まだまだ燃えるために!」


「合宿の終盤で日本食が恋しいなと思っていた時に出合ったガレットが忘れられません。モツ焼きが挟まった一皿だったんですけど、お酒にも合うし猛烈にうまかった!日本とフランスの融合でした」

お酒が大好きだという大野さん。シャンパンバル ヌメロサンクではシャンパン1419円(税込み)とハムの盛り合わせ1980円(税込み)に舌鼓。「カジュアルな雰囲気で会話を楽しみながら飲めるの、いいですね。シャンパンもワインも種類が豊富!」

What's GOOD LIFE for you?
会いたい時に会う

  • 「人生いろんな人と出会うことができて今があると思うんです。会いたい人に会える時に会いに行く。それができてなおかつ会いたいと思える人がいっぱいいる人生が僕にとってのGOOD LIFEなのかなと思います」

この記事は、2024年6月30日発行の日経REVIVE7月号に掲載された内容です。

取材裏話

7月号「神楽坂」大野均さん

撮影日当日の待ち合わせ場所、兵庫横丁に集合時刻前に一人でお越しになった大野さん。ラグビーの世界では「遅刻をしない。時間厳守」がルールで普段の行動にも身についているのだとか。神楽坂は細い路地が花街の独特の風情を醸し出し、海外の観光客の姿もちらほらと。今回はパリを探しに神楽坂を訪れましたが、本紙REVIVE掲載の石畳に沿った料亭幸本さんではお食事、芸者衆とともにお座敷芸も楽しめます。7月は幇間芸(たいこもち)が予定されています。神楽坂ならではの和の文化にもふれたい方はぜひwebで確認を。

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