コラム

ART

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キース・へリング展
アートをストリートへ
KEITH HARING Art to the Streets

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2024年10月25日

キース・へリング展 アートをストリートへ
KEITH HARING Art to the Streets

11月28日(木)から静岡市美術館にて開催されます。

明るく、ポップなイメージで世界中から愛されているキース・へリング。
へリングは「アートはみんなのために」という信念のもと、1980年代のニューヨークを中心に地下鉄駅構内やストリート、つまり日常にアートを拡散させることで、混沌とする社会への強いメッセージを発信し、人類の未来と希望を子どもたちに託しました。へリングが駆け抜けた31年間の生涯のうちアーティストとしての活動期間は10年程ですが、残された作品に込められたメッセージはいまなお響き続けています。

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展覧会の見どころ

1. 6メートルの大型作品など150点が集結

アイコニックなモチーフから、6メートルの大型作品まで、キース・へリングの世界観を体現する150点が勢揃いします。活動初期のサブウェイ・ドローイング、トレードマークとなったモチーフによる作品≪イコンズ≫や彫刻、ポスター、晩年の大型作品まで、へリングのアートが一堂に集まりました。へリングの芸術を体感する貴重な機会です。

2. 光・闇・喧噪・色彩。ドラマチックに展開する展示空間

発光する作品、闇に浮かび上がる展示、80年代ニューヨークさながらの喧騒など、へリングが駆け抜けた10年のストーリーとともに、展示空間は劇的に展開します。一部のエリアを除き、展示室は写真撮影OKです。

3. 現代へのメッセージ

「アートはみんなのために」ーーその信念のもと、核放棄、性的マイノリティのカミングアウトの祝福、HIV・エイズ予防のためのセーフ・セックスなど、社会へのメッセージをアートで訴え続けたへリング。国境を越え、世代を超えて響き続けるへリングのメッセージにご注目ください。

4. スペシャル・トピック:キース・へリングと日本

日本に特別な想いを抱いていたへリング。数度にわたる来日が縁で生まれた貴重な作品や資料を、当時の写真とともにトピックとして展示します。

主な出品作品

第1章 公共のアート

1978年、ペンシルバニア州ピッツバーグからニューヨークに移り、スクール・オブ・ビジュアル・アーツに入学したへリングは、絵画だけでなく映像やインスタレーションなど多様な美術表現を学びながら、美術館や画廊といった従来の展示空間から公共空間でアートを展開する方法を模索しました。中でも、人種や階級、性別、職業に関係なく最も多くの人が利用する地下鉄に注目。「ここに描けばあらゆる人が自分の作品を見てくれる」と、地下鉄駅構内の空いている広告板に貼られた黒い紙にチョークでドローイングし、そのシンプルに素早く描かれた光り輝く赤ん坊、吠える犬、光線を出す宇宙船は多くのニューヨーカーの心と記憶に入り込みました。

≪無題(サブウェイ・ドローイング)≫1981-83年

第2章 生と迷路

HIVの蔓延は社会に暗い影響を落とし始めていましたが、ペンシルべニア州ピッツバーグの田舎から出てきたへリングにとって、ニューヨークはゲイカルチャーも華やいでいる刺激的な場所でした。混沌と希望にあふれるこの街で解放されたへリングは生の喜びと死への恐怖を背負い、約10年間という限られた時間に自らのエネルギーを注ぎ込んでいます。ジャン・デュビュッフェ、ピエール・アレシンスキー、ウィリアム・バロウズ、そしてアーティストの独立性を主張したロバート・ヘンライのマニュフェスト『アート・スピリット』に影響を受け、独自の表現を推し進める中で、アフリカの芸術から着想を得た表現なども確立していきます。

≪無題≫1983年

第3章 ポップアートとカルチャー

米国経済不況下の80年代ニューヨークは、現在以上に犯罪が多発する都市として知られており、ドラッグや暴力、貧困が蔓延していました。それでもクラブ・シーンは盛り上がり、ストリートアートが隆盛を極めるなど街もカルチャーも人々もパワーに溢れていました。アンディ・ウォーホルやマドンナ、そしてバスキアの作品もそのような状況下から誕生しています。

特にパラダイス・ガラージは人種の坩堝で、ダンスもDJの神様といわれたラリー・レヴァンのプレイも、へリングにとって最高のクラブであり、踊りと音楽に酔いしれるだけでなく、創作のアイデアが湧き出る神聖な場所でもありました。そのように文化が混ざり合う時代の中で、へリングはポップアートだけでなく、舞台芸術や広告、音楽など関わりながら制作の場を広げていくことになります。

幅6メートルもの超大作!

『スウィート・サタデー・ナイト』のための舞台セット 1985年

アンディ・ウォーホルとのコラボレーション作品

  • ≪アンディ・マウス≫1986年
第4章 アート・アクティビズム

キース・へリングは大衆にダイレクトにメッセージを伝えるため、ポスターという媒体を使いました。題材は核放棄、反アパルトヘイト、HIV・エイズ予防や、性的マイノリティのカミングアウトを祝福する「ナショナル・カミングアウト・デー」など社会的なものから、アブソルート・ウォッカやウォッチなどとのコラボレーション広告といった商業的なものまで、100点以上に及びます。
中でも、社会へのメッセージを発信したポスターは数多く、へリングが初めて制作したポスターは、1982年に自費で2万部を印刷した核放棄のためのポスターであり、セントラル・パークで行われた核兵器と軍拡競争に反対する大規模デモで無料配布されました。

作品に込められた社会へのメッセージ

  • ≪沈黙は死≫1989年
  • ≪楽しさで頭をいっぱいにしよう!本を読もう!≫1988年
第5章 アートはみんなのために

アートを富裕層だけではなく大衆に届けたいと考えたへリングは、ストリートや地下鉄での活動に始まり、自身がデザインした商品を販売するポップショップといったアート活動を通して彼らとのコミュニケーションを可能にしてきました。本章のメインとなる≪赤と黒の物語≫は、絵画の連なりから1つのストーリーを想像する、子どもたちだけでなく大人にも訴えかける視覚言語が用いられた、代表的な作品です。

第6章 現在から未来へ

17点による≪ブループリント・ドローイング≫は「ニューヨークでのはじまりを啓示するタイムカプセル」だとへリングはテキストに残しています。一点一点には解説は付けられていませんが、資本主義に翻弄され不平等や争いがはびこる社会や、テクノロジーが人間を支配するような未来がモノクロームでコミックのように淡々と描写されています。

世代を超えて愛されるキースの代表モチーフ

≪イコンズ≫に描かれた世界中で愛されている光輝く赤ん坊、通称ラディアント・ベイビーも、鑑賞する人の作品だけ意味が生まれていきます。現在を未来として描き、未来を現在として描いたへリングの思いは、没後30年以上経った今でも歴史と共に巡っています。

≪イコンズ≫1990年

※作品はすべて中村キース・へリング美術館蔵、Keith Haring Artwork ©Keith Haring Foundation
※画像写真の無断転載を禁止します

キース・へリング展 アートをストリートへ
KEITH HARING Art to the Streets

<開催概要>

会期:2024年11月28日(木)- 2025年1月19日(日)
会場:静岡市美術館
〒420-0852 静岡県静岡市葵区紺屋町17-1葵タワー3階
休館日:毎週月曜日※ただし祝日の場合は開館、翌火曜日は休館、年末年始(12月29日(日)~1月1日(水・祝))
開館時間:10:00 – 19:00(展示室への入場は閉館の30分前まで)
主催:静岡市、静岡市美術館 指定管理者(公財)静岡市文化振興財団、テレビ静岡、中日新聞東海本社
後援:静岡市教育委員会
特別協力:中村キース・へリング美術館
協力:ぴあ
企画協力:朝日新聞社、東映
ホームページ:キース・へリング展 アートをストリートへ
お問合せ:054-273-1515(代表)

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