コラム

ART

posted by 日経REVIVE

藤田嗣治 ― 7つの情熱
Les 7 Passions de Foujita

posted by 日経REVIVE

2025年02月28日

藤田嗣治 《自画像》1960年 木版/紙 37.5×29cm 個人蔵(フランス)
©Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2024 E5785
藤田嗣治 ―7つの情熱
Les 7 Passions de Foujita

2025年4月12日(土)からSOMPO美術館で開催されます。
読者プレゼントのご案内 -4月9日締切-

『藤田嗣治 ―7つの情熱』のペア招待券(5組10名様)をプレゼント!

プレゼントへのご応募はこちらから

藤田嗣治(レオナール・フジタ 1886–1968)の芸術を、7つの視点(情熱)で紹介する展覧会です。藤田研究の第一人者として知られるシルヴィー・ビュイッソン氏の監修のもと、藤田の創作源を「自己表現」「風景」「前衛」「東方と西方」「女性」「子ども」「天国と天使」という「7つの情熱」で読み解きます。
また、東郷青児、川島理一郎、海老原喜之助など、藤田と関わりの深い日本人画家9名の作品を第二部で展示し、藤田が同時代に果たした役割に迫ります。
個人所蔵を含む国内外から集められた油彩、版画、資料など、150余点で構成される展覧会です。

展覧会の見どころ

✓ 「7つの情熱」という新しい切り口で、藤田嗣治の作品の魅力を紹介します
✓ 藤田のカタログ・レゾネ(全作品集)の編集者であるシルヴィー・ビュイッソン氏の監修のもと、個人所蔵含む国内外から集められた作品を展示します
✓ 東郷青児、海老原喜之助など、これまで藤田展ではあまり紹介されなかった、関わりの深い日本人作家の作品群を第二部として展示します
藤田嗣治(レオナール・フジタ 1886–1968)

1886年、東京府牛込区(現在の東京都新宿区)に生まれる。東京美術学校(現在の東京藝術大学)で学ぶ。1913年、26歳で渡仏、キュビスムをはじめとする前衛芸術運動に触れた後、「乳白色の肌」の裸婦像で一躍人気を集める。1932年に南アメリカ経由で帰国するものの、日本では正当な評価が得られず、1949年に失意のうちにアメリカ経由で渡仏する。1955年、フランスに帰化。1968年にスイスのチューリッヒで没。

展示構成

第1部

Partie 1: 自己表現への情熱 – La Passion de Lui-même

丸メガネ、切りそろえた前髪(オカッパ頭)、口ひげ、イヤリングや洒落た服装……。藤田は作品とともに、その外観が広く知られた画家のひとりということができます。フランスと日本、伝統的教育と前衛というふたつの文化の狭間で、藤田は自分だけの境地を確立しようと試みました。藤田の他者とは一線を画すイメージは、自ら築き上げた唯一無二の芸術のひとつの表れと考えられます。

– Partie 2: 風景への情熱 – La Passion du Ciel

世界各地を訪れた藤田は、その先々の風景を描きました。特に1914年、パリ周辺を描いた風景画は、画家自身が「他の模倣ではなく、全く自分と自然との間に生まれた独創的な物であった事を、見出した俺れ(原文ママ)は、無我夢中になってその野原の上に、でんぐり返しを打って喜んだ」と語ったように、藤田独自のスタイルをもたらすことになりました。藤田の風景画にみられる「無」の空間は、やがてその作品の白や金の背景のように、何もない空間に潜む美しさへと繋がっていきます。

– Partie 3: 前衛への情熱 – La Passion de l’Avant-garde

藤田が最初にフランスに赴いた1913年、パリではフォーヴィスムやキュビスムのような前衛芸術が全盛期を迎えていました。渡仏して早々にピカソのアトリエを訪れた藤田は、ピカソのキュビスム、そしてピカソが所有していたアンリ・ルソーの作品に衝撃を受けました。藤田がキュビスム風の作品を描いたのは1910年代のわずかな期間でしたが、前衛芸術に直に接したこと、そしてその様式を試みたことが、それまで受けていたアカデミックな教育を乗り越え、新たな境地を切り開くきっかけとなりました。

– Partie 4: 東方と西方への情熱 – La Passion de l’Est et de l’Ouest

第一次世界大戦中、多くの日本人留学生が帰国する中、藤田はパリに留まりました。戦中という特殊な環境下で、日本から遠く離れた地で、藤田はあらためて日本の文化を見つめ直す機会を得ました。流行を追いかけるのではない、自分だけの様式を模索していた藤田は、面相筆を使った極細の黒い墨の線、金屏風を連想させる黄金色の背景、浮世絵に共通する独特のしぐさ、仏像のようなアーモンド形の眼など、日本美術の要素を積極的に自作に取り入れていきました。

– Partie 5: 女性への情熱 – La Passion de la Femme

1920年代、藤田は代名詞ともいえる「乳白色の裸婦」で高く評価され、その名が広く知られるようになりました。この藤田の裸婦像の誕生には、1924年からともに暮らし始めた妻リュシー・バドゥーの存在が大きな役割を果たしています。リュシーはその肌の白さから、日本語の「雪」にちなんで「ユキ」と呼ばれていました。藤田は画材の研究を重ね、白い肌の表現に挑みました。1931年、藤田はリュシーと別れ、新たに妻となったマドレーヌ・ルクーとブラジルに旅立ちます。マドレーヌは1930年代以降、金髪で流麗な曲線を持つ裸婦像の着想源となりました。

– Partie 6: 子どもへの情熱 – La Passion des Enfants

丸く張った広い額、とがらせた唇、大人びたまなざし……。藤田は晩年に近づくにつれて、風刺画を中心に独特の容貌を持つ子どもたちの姿を描くようになりました。これらの作品の多くは、特定の肖像画というよりも、藤田の空想の世界に生きる子どもたちの姿を描いたものでした。純真無垢で恐れを知らず、自然に最も近い存在といえる子どもたちを愛した藤田は、彼らに自分の理想の姿を重ねていたと考えられます。

– Partie 7: 天国と天使への情熱 – La Passion des Anges et du Paradis

藤田はカトリック系の学校でフランス語を学ぶなど、早い段階からキリスト教やキリスト教美術に接していました。藤田が洗礼を受け、キリスト教徒となるのは1959年のことですが、最初の渡仏から間もない1910年代後半、すでにイタリア初期ルネサンス風のキリストの「生誕図」や「磔刑図」などを描いていました。藤田のキリスト教に対する情熱は、1966年に内装を手掛けたランスにあるシャペル・ノートル=ダム・ド・ラ・ぺ(平和の聖母礼拝堂)において頂点に達します。

《ヴェールの若い女性》1950年 グアッシュ・水彩・墨・金箔/紙、個人蔵(エルサレム、イスラエル) 23.3cm x 17.2cm ©Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2024 E5785
第2部
情熱の来し方行く末 – 藤田嗣治を囲む日本人美術家たち

藤田は優れた芸術家であると同時に、優れた教育者でした。藤田がフランス画壇で評価を高めた1920年代、海老原喜之助、岡鹿之助といったフランスで学ぶことを望んだ若い芸術家たちが紹介状を携えパリの藤田を訪問、藤田は各人にあった教育を授けました。また社交的であった藤田は、渡仏早々にはパリ生活の先達ともいえる川島理一郎と親しく行動し、ヨーロッパの美術界に通じていた東郷青児とは1930年代、百貨店やカフェの装飾画を競作しています。本展の第二部では、藤田嗣治に関わりの深い日本人美術家から、川島理一郎、東郷青児、板東敏雄、海老原喜之助、高野三三男(こうのみさお)、小柳正、岡鹿之助、高崎剛、田淵安一の作品を、藤田とのかかわりを交えながら紹介します。

海老原喜之助《森と群鳥》1932年頃 油彩/カンヴァス 73.2×100cm 三重県立美術館
  • 東郷青児《ビルヌーブ・ルーベ》1923年 油彩/カンヴァス 53.4×46cm SOMPO美術館 ©Sompo Museum of Art, 24022
  • 川島理一郎《パリの花市場》1926年 油彩/カンヴァス 50×61cm 丸紅株式会社

会期中のイベント

●学芸員のギャラリートーク[自由参加]
4月19日(土) 11:00–11:30、4月25日(金) 18:30–19:00 
本展担当学芸員が展覧会の見どころや出品作品について展示室で解説を行います
〈展示フロアを移動しながらマイクを使用して説明します〉
参加方法: 時間になりましたら5階展示室入口へお集まりください
参加費: 無料 ※ただし、本展への入場が必要です

●ギャラリー★で★トーク・アート[要申込]
6月9日(月)14:00–16:00
休館日に貸し切りの美術館で、ボランティアガイドと話しをしてみませんか?作品解説を聞くのではなく、参加者が作品を見て、感じて、思うことを話しながら楽しむ参加型の作品鑑賞会です〈定員30名〉
参加方法: web申込/2025年4月11日(金)10:00より美術館ホームページにて受付開始
参加費: 1,800円(税込) ※高校生以下無料 ※ご招待券、ご招待状、年間パスポート、割引等は適用できません

●収蔵品コーナー
フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》、ほか

©Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2024 E5785

藤田嗣治 ― 7つの情熱Les 7 Passions de Foujita

藤田嗣治(レオナール・フジタ 1886–1968)の芸術を、7つの視点(情熱)で紹介する展覧会

<開催概要>

会期:2025年4月12日(土)〜 6月22日(日)
会場:SOMPO美術館 〒160-8338 東京都新宿区西新宿1-26-1
開館時間:10:00 〜 18:00(金曜日は20:00まで)※最終入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし、5月5日(月・祝)、5月7日
観覧料(税込):一般(26歳以上)/事前購入券1,700円、当日券1,800円
25歳以下/事前購入券1,100円、当日券1,200円 高校生以下/無料
※年齢は入場時点 
※身体障がい者手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳(ミライロIDも可)を提示のご本人とその介助者1名は無料、被爆者健康手帳を提示の方はご本人のみ無料
●事前購入券は2月14日(金)10:00から販売開始、公式電子チケット「アソビュー!」、イープラス、ローソンチケット(Lコード:32552)、チケットぴあ(Pコード:687-167)などでお買い求めいただけます(手数料がかかる場合があります)
主催:SOMPO美術館、サンディエゴ美術館、日本経済新聞社
特別協賛:SOMPOホールディングス
特別協力:損保ジャパン
協力:日本航空
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ、新宿区、J-WAVE
企画協力:ブレーントラスト
Commissariat général:Sylvie Buisson, historienne d’art et expert de Léonard Foujita
ホームページ:https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2024/tsuguharu-foujita/
お問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)

読者プレゼントのご案内 -4月9日締切-

『藤田嗣治 ―7つの情熱』のペア招待券(5組10名様)をプレゼント!

プレゼントへのご応募はこちらから