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posted by 日経REVIVE

サンディエゴ美術館 feat. 国立西洋美術館

どこ見る?どう見る?西洋絵画!
ルネサンスから印象派まで

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2025年05月13日

どこ見る?どう見る?西洋絵画!
ルネサンスから印象派まで
サンディエゴ美術館 feat. 国立西洋美術館2025年6月25日(火)から京都市京セラ美術館で開催されます。

サンディエゴ美術館は、米国西海岸において最初期に収集された充実したヨーロッパ絵画のコレクションを有します。本展に出品される作品はすべてが日本初公開。
なかでもジョットやジョルジョーネの作品はいずれも北米には数点しか所蔵されない貴重な作例であり、サンチェス・コターンの静物画は、17世紀スペインの静物画の代表作として世界的に最もよく知られた傑作です。

それらに東アジアにおいて唯一の体系的なヨーロッパ絵画のコレクションを所蔵する国立西洋美術館の所蔵品6点が加わり、より充実した構成となっています。
異なる文化や歴史のなかで描かれた西洋絵画をどのように見ると楽しめるか、鑑賞のヒントを提案する展覧会になっっています。

ルネサンスから19世紀印象派まで、約60点の作品で600年を旅するようにたどりながら、ひとりひとりの「どこみる」を、ぜひ会場でお探しください。

展覧会の見どころ

✓ 日本初公開のサンディエゴ美術館コレクションから54点が京都にやってくる!
✓ スペイン美術の名品が勢ぞろい!
エル・グレコ、スルバラン、ムリーリョ、ソローリャ…サンディエゴ美術館、実はスペイン美術の宝庫です。
✓ スペインの静物画、「ボデゴン」の最高傑作が来日!
スペインの静物画、フアン・サンチェス・コターン
《マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物》
サンディエゴ美術館の顔ともいえる重要作です。
✓ ほかにも有名作家が続々登場!
ジョット、フラ・アンジェリコ、ジョルジョーネ、ルーベンス、ドガ…。
ルネサンスから19世紀まで、西洋絵画600年の歴史を知る絶好の機会です。
✓ ヒントを基に深堀りするからわかる西洋絵画の面白さ!
初めての美術鑑賞にもピッタリです。

展示構成

chapter 1 ルネサンス

西洋近代美術の礎は、14~16世紀にかけて、イタリアとネーデルラント(現在のベルギー、オランダ)で起こった革新運動によって築かれ、ヨーロッパ各地へ伝播しました。ジョットからボス(工房)まで、両地域のルネサンス絵画の展開を探ります。

ルカ・シニョレッリ 《聖母戴冠》1508年、油彩、テンペラ/板 サンディエゴ美術館 ©The San Diego Museum of Art

ベルナルディーノ・ルイーニ《マグダラのマリアの回心》1520年頃、油彩/板 サンディエゴ美術館 ©The San Diego Museum of Art
ジョルジョーネ
肖像画に魂を吹き込んだ謎の画家

ジョルジョーネは、ヴェネツィアにおける盛期ルネサンス絵画の創始者とされる画家です。緻密なディテールの描写と柔らかな陰影表現を組み合わせることで、人物の風貌の特徴のみならず実在感までを表現することに成功した本作は、ルネサンス肖像画の傑作の1点に数えられます。33歳で早逝したジョルジョーネの現存作は30点ほどと極めて少ないため、日本国内で展示されることは大変稀です。
本展では、16世紀後半のヴェネツィア絵画を代表するティントレットの肖像画とともに展示、同地における肖像画制作の展開を検証しています。

ジョルジョーネ《男性の肖像》1506年、油彩/板、サンディエゴ美術館 ©The San Diego Museum of Art

– chapter 2 バロック

サンディエゴ美術館の充実したバロック絵画コレクションを基に国立西洋美術館所蔵の優品を組み合わせながら、17 世紀美術の展開をスペイン、イタリア及びフランス、フランドル及びオランダと、地域別にご紹介します。
スルバランは17世紀スペイン絵画を代表する画家の一人で、主に南部のセビーリャで活躍しました。多くのカトリック聖人像を描いたことから「修道僧の画家」とも呼ばれます。本展には4作品が出品されています。

静から動へ

17世紀初頭、スペインではボデゴンと呼ばれる独自の静物画のジャンルが花開きます。
その始祖とされる画家サンチェス・コターンは早くして僧籍に入ったため、静物画は6点しか現存しません。その中でも最も高く評価される《マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物》の展示は、本展のハイライトを成しています。
今回はコターンの次の世代を代表する静物画家バン・デル・アメン、そしてスルバランの作品が並べて展示されています。
事物の荘厳な本質に迫るかのようなサンチェス・コターンと、より華やかな装飾性と豪華さを強調したバン・デル・アメン、さらにはスルバランによる「神聖なるボデゴン」とも称される《神の仔羊》の3作品により、スペイン静物画の真髄を紹介しています。

フアン・サンチェス・コターン《マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物》
1602年頃、油彩/板、サンディエゴ美術館 ©The San Diego Museum of Art

フアン・バン・デル・アメン《果物籠と猟鳥のある静物》
1621年頃、油彩/カンヴァス、国立西洋美術館

フランシスコ・デ・スルバラン《神の仔羊》
1635–40年頃、油彩/カンヴァス、サンディエゴ美術館 ©The San Diego Museum of Art
スルバラン
祈りの画家の足跡を5点で辿る

スルバランは17世紀スペイン絵画を代表する画家の一人で、主に南部のセビーリャで活躍しました。多くのカトリック聖人像を描いたことで「修道僧の画家」とも呼ばれます。本展では、サンディエゴ美術館所蔵の4点と国立西洋美術館所蔵の1点を合わせた計5点が展示されます。

フランシスコ・デ・スルバラン《聖母子と聖ヨハネ》1658年、油彩/カンヴァス、サンディエゴ美術館 ©The San Diego Museum of Art

chapter 3 18世紀

この時代の美術をリードしたイタリア絵画とフランス絵画の展開に焦点を当て、両館のコレクションから風景画、肖像画、風俗画それぞれのジャンルにおける地域ごとの特徴を見ていきます。
18世紀ヨーロッパでは、グランド・ツアーと呼ばれるイタリア旅行が流行。それに合わせてヴェドゥータと呼ばれる都市景観画が各地でもてはやされました。イタリア人画家ベロットは水の都ヴェネツィアの名所を明るい陽光のもと迫真的に描き出しました。

ベルナルド・ベロット《ヴェネツィア、サン・マルコ湾から望むモーロ岸壁 》
1740年頃、油彩/カンヴァス サンディエゴ美術館 Ⓒ The San Diego Museum of Art
ロココ vs 新古典 女性ファッション対決

18世紀末から19世紀初頭にかけて、フランスでは数多くの女性芸術家が活躍しました。カペとブノワもそうした二人で、女性が初めて出品を認められた1791年の官展に出品しています。
カペの自画像では、ヴォリュームを強調した巻き髪や淡いブルーのリボンとドレスがロココの雅なファッションを伝えるのに対し、ブノワの女性像は、ギリシャ彫刻を思わせる薄手の白いシュミーズドレスの上にショールをまとい、より簡潔な新古典主義の時代の到来を伝えています。

マリー=ガブリエル・カペ《自画像》1783年頃、油彩/カンヴァス、国立西洋美術館

マリー=ギユミーヌ・ブノワ《婦人の肖像》1799年頃、油彩/カンヴァス、サンディエゴ美術館 ©The San Diego Museum of Art

chapter 4 19世紀

本章では、19世紀における人物表現に着目しています。新しい時代に求められる近代性と古典的な絵画伝統のはざまで葛藤した画家たちの多様なあり方を探ります。
革命期から第二帝政期にかけてフランスで活動したオノレ・ドーミエは、パリの都市生活を鋭い観察眼で捉えた油彩画を制作しました。時を同じくして、ドミニク・アングルなどアカデミー派の画家たちは伝統に根ざした理想的な人物像を確立していました。少し時代が下るブーグローはアカデミーの規範に従った様式で描きながらも農村の少女など純真で無垢なモデルを甘く感傷的に描きました。
こうした19世紀の多彩な作家と絵画の魅力をご紹介しています。

ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル《フェイディアスの習作》1827年(1866年に拡大) 油彩/カンヴァス(板に貼付) サンディエゴ美術館 ©The San Diego Museum of Art
スペインの陽光

スペイン人画家ソローリャは、生前にアメリカで極めて高い人気を誇りました。ベラスケスやゴヤなどスペインの写実絵画の伝統を受け継ぎながら、子どもたちや自身の娘など身近なモデルの何気ない仕草や表情を捉えた作品に本領を発揮しました。
画業の後半では、戸外制作を重視しました。スペイン各地の風俗や庶民の姿を描いた彼の円熟期の作品には、スペインの明るい太陽の光が素早い筆致で描かれています。

ホアキン・ソローリャ《ラ・グランハのマリア》1907年、油彩/カンヴァス、サンディエゴ美術館 ©The San Diego Museum of Art
サンディエゴ美術館

カリフォルニア州の最南端に位置するサンディエゴは、スペインからの植民者によって築かれた町で、現在では同州第2の人口を擁する大都市です。サンディエゴ美術館は、地元の有力市民たちの主導のもと1926年に開館し、16世紀スペインのプラテレスコ様式を復古したその建物には、ヨーロッパ、南北アメリカ、アジアなど世界各地の美術作品約32,000点が収蔵されています。中でも核となるのはヨーロッパ古典絵画のコレクションで、それらは主に1930-40年代にかけて、パットナム姉妹 を中心とした篤志家の協力により築かれました。そのラインナップは他のアメリカの美術館同様に網羅的でありながら、同国のコレクターの好んだ初期イタリア絵画や、サンディエゴの歴史を反映したスペイン美術に優作が多いことが特徴です。

サンディエゴ美術館外観©The San Diego Museum of Art
国立西洋美術館

国立西洋美術館は、実業家松方幸次郎の収集した西洋美術コレクションの一部がフランスから日本に寄贈返還されるに伴い、東京・上野公園に1959年に設立されました。その建物(現在の本館)はル・コルビュジエの設計によるもので、ユネスコ世界遺産にも登録されています。1910-20年代にヨーロッパで収集された当初のコレクションは、印象派を中心に19世紀から20世紀初頭の絵画と彫刻に限られていましたが、1960年代末以降古典絵画の網羅的な収集が開始され、現在ではゴシックからロマン主義に至る古典絵画を含む、6,000点以上の西洋美術作品を所蔵しています。近世以降のヨーロッパ美術を俯瞰するそのコレクションは、日本国内のみならず東アジアにおいて最も充実したものとして知られています。

国立西洋美術館外観 ©国立西洋美術館

西洋絵画、どこから見るか?
ルネサンスから印象派まで
サンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館

<開催概要>

会期:2025年6月25日(水)- 10月13日(月・祝)
会場:京都市京セラ美術館 本館北回廊1F 〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町 124
開館時間:10:00 〜 18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし、7月21日[月・祝]、8月11日[月・祝]、9月15日[月・祝]、10月13日[月・祝]は開館)
主催:サンディエゴ美術館、日本経済新聞社、テレビ大阪、京都新聞、京都市
後援:アメリカ大使館
協賛:ダイキン工業、DNP大日本印刷
協力:日本航空
特別協力:Manifesto Expo
ホームページ:https://art.nikkei.com/dokomiru/
お問合せ:075-771-4334