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コラム
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鮨の始まり 編
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2023年11月26日
起源は保存食!
鮨は米無しの発酵食品
日本の国民食といっても過言ではないほど、浸透している鮨。その起源を紹介していきたい。
東南アジアの山岳地帯の民族を中心に食べられていた「なれ鮨」というのが鮨の始まりだといわれている。山あいでは手に入りにくい魚を長期間保存するために炊いた米がドロドロになるまでしっかり漬け込み発酵させたもの。なれ鮨は米の部分は捨てて魚のみを食べていた。
なれ鮨が日本に伝わったのはおよそ奈良時代だといわれている。甘酢で味付けしたごはんに魚をのせて一晩寝かせて発酵させたもの。一般市民は食べることができず、貢ぎ物として献上されていたため、貴族以上の身分の人しか口にできなかったとか。
このなれ鮨は滋賀県のふな鮨、秋田県のハタハタ鮨、和歌山県のサバなれ鮨と、郷土料理として今もその名残が生きている。
酢の生産が盛んになった江戸時代中期になるとやっと現在の鮨の形に近づくが、握り鮨として食べられるようになったのは江戸末期。ただ当時の握り鮨はおにぎりぐらいのサイズ感だったため、切り分けて食べていた。1皿に2貫というのは切り分けて食べていた頃の名残だといわれている。ちなみにネタが刺し身になるのは製氷業が盛んになり氷で冷やして保存ができるようになった明治時代。こう考えると結構最近なのである。
文明開化とともに、鮨も進化を遂げた。
鮨店が一番多い県は
意外や意外、海無し県!?
日本全国でおよそ2万5000軒ある鮨店。店舗数でいうと3000店超えで東京が一番だが、人口10万人あたりの店舗数に換算すると一番多いのはなんと、山梨県なのだとか(総務省の経済センサス- 基礎調査)。2位は石川県、以降東京都、富山県、静岡県と続く。海無し県である山梨が1位なのには、なれ鮨が関係している。
新鮮な魚を運搬するのが難しかった時代に、なれ鮨をはじめとするネタを締めたり漬けたりした握り鮨を作っていたというのが鮨文化発展に寄与しているという。
もう一つは無尽という助け合い精神の影響。互助会的慣習の宴の場に鮨店が好まれていたというのも海無し県にもかかわらず鮨店が多い理由につながっている。
ハレの日には鮨という意識は、日本のもてなしの心の象徴だ。
さあ、鮨を食べよう。
参考資料:全国すし商生活衛生同業組合連合会ウェブサイト、ごはん彩々ウェブサイト