12 2023

職人の手仕事を楽しむ

|銀座で鮨|

カバー特集

posted by 日経REVIVE

中尾彬&池波志乃夫妻の「銀座で鮨」GOOD LIFE
職人の手仕事を 楽しむ
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2023年11月26日

職人の気合に触れられる
下町の人情が残る街

芸能界一のおしどり夫婦として知られる中尾彬さん&池波志乃さん夫妻と「銀座 鮨青木」を訪ねました。
2代目大将が握る鮨に舌鼓を打ちながら、銀座の街について、夫婦の食事情、夫婦円満の秘訣まで幅広くお話を伺いました。

NAVIGATOR

AKIRA NAKAO / SHINO IKENAMI

なかお・あきら/いけなみ・しの
AKIRA NAKAO
1942年、千葉県生まれの俳優・タレント。1964 年に日活映画「月曜日のユカ」でデビュー。以降、数々のテレビドラマや映画に出演。俳優業の傍ら絵画創作も行い、フランスの絵画展ル・サロンで大賞、国際賞を受賞。近年はバラエティー番組出演のほか、「銀座百点」などでの執筆活動も行う。
SHINO IKENAMI
1955年、東京都荒川区生まれの俳優・タレント。1973年テレビドラマ「女ねずみ小僧」でデビュー。 NHK朝の連続テレビ小説「鳩子の海」で注目を浴びて以降、テレビドラマ、映画、舞台と幅広く活躍。1978年に中尾彬氏と結婚。今年結婚45周年を迎えた、芸能界一のおしどり夫婦として知られる。

撮影/七咲由梨 編集・文/澤村 恵 アートディレクション/本多康規(Cumu)

気張らなくていい。
おいしい鮨、いただきましょう

コロナ禍を経て、外国人観光客も増えて以前のような活気が戻りつつある銀座の街。中尾&池波夫妻にとって、銀座の街は生活圏だそうで、特別ではなく日常だといいます。

中尾「銀座の街は我が家の暮らしになくてはならない、生活の中心地区。食料品はもちろん、漬物はここ、洋服を買うならここ、時計はここって全部決まっている。食事をする場所もね。とんかつならここ、そばならここっていうふうに」

池波「そうですね。夫婦になって45年ですけれど、ずっと銀座でお買い物から美容院などの身支度までお世話になっていますね。決まっているって安心なんですよね。昔からのなじみといいましょうか。だから、新しいお店となると実はなかなか一歩が踏み出せなかったりして」

中尾「そうなんだよな。志乃は下町出身っていうのもあって、義理堅いところがある。例えば商店街にいくつか肉屋があるとする。行きつけの肉屋が休みだったらその日は肉料理はやめにして魚にする、みたいな」

池波「他の肉屋さんで買ったっていいんでしょうけどね。どうしてもそういう一歩が出ないのよね。銀座も下町ですから、そういう義理人情な雰囲気が今もあって。好きですね」

中尾「鮨やそばもそうなんだよな。なかなか新しい一歩が踏み出せない」

池波「でも青木さんのことは色々拝見していて、お邪魔したいなとずっと思っていたのよね。だから今日は念願かなってうれしい」

銀座で鮨、というと緊張する人も多いと思うのですが…。

中尾「銀座だからと気負わなくていいんじゃない? 俺はね、鮨は職人の手仕事を食いにいくつもりでいるわけ。だから対決よ。カウンターを挟んで一対一での無言の戦い。今日も大将の手仕事にうなりました。ん〜素晴らしい」

池波「大将が魂込めて握ってくださる鮨はお皿に置かれた瞬間がベストなわけだから、おしゃべりに夢中にならずにすぐにいただきます。あとはお酒じゃなく、あがりでいただきます」

中尾「酒飲みながらなんて、職人に失礼だよ。あくまで我が家のスタイル、というかこだわりだけどね」

池波「一番おいしく食べたいのよね」

「 食べるってすごい大切。一食一食を丁寧に楽しみたい 」 ( 中尾 彬 )


  • 「ごめんね、行儀が悪いって思う人もいるかもしれないけど、俺はね、鮨は手でいただくって決めているんだよ。温度、質感、香りなども含めて職人の手仕事が詰まっているからさ」(中尾)

「ずっと伺いたいと思っていたんです。先付けから始まり、イカ、コハダ、サバ、マグロ、巻物に至るまでどれもおいしい。大将のお人柄もすてきでまた伺いたいです」と池波さん

「 おいしいって一緒に分かち合えるのって幸せですよ 」 ( 池波志乃 )


  • 「中尾も私もつまみをいただく時はお酒も飲みますが、いざ握りのタイミングに入ったら必ずあがりで。だって酔っ払いながらなんて失礼だし、鮨そのものをきちんと味わいたいですから」(池波)

「ん~おいしい。サバも見事な締まり具合。のりの香りとパリッという食感も計算されていて。コハダかかんぴょう巻きで締めるんだけど、卵が入っていていいね。さすがだよ大将」と中尾さん

生きる=食べること
俺たち同じものを食べてるよな

今年で結婚45周年を迎えた中尾夫妻。ズバリ、夫婦円満の秘訣は?

中尾「そりゃあもう、同じもの食べることでしょう。俺はそれに尽きると思っているよ」

池波「食事って生きる基本。だから良しとするものがズレているとちょっと難しいのかな。でも、読者世代のご夫婦ならばズレていたとしてもそれなりに帳尻を合わせてきたんだろうから、これからもその歩み寄りを大事にしたらいいんじゃないかしら。ちなみに年齢を重ねるにつれ好みや主張が極端になっていくから工夫は必要ですね」

中尾「うちはね18年前から食日記つけているんだよ3食全部。見返すのも面白いよ」

池波「二人で同じものを食べているから不思議と明日はあれが食べたいな、というのも一緒なの。夫婦で食日記をつけるのおすすめです」

最後に、これからの生き方について聞かせてください。お二人はもう、終活も終えられているとのことですが・・・。

中尾「もうね、断捨離もしたし、墓もあるしね。若い頃に書いた遺言があるんだけど、見返したら全然ダメでさ。だから今それを整えているところ」

池波「いつ死ぬか分からないっていう覚悟で向き合わなくちゃいけないなって。だから先のことは考えず、その都度何ができるかなって考えています」

中尾「そう。目標じゃなくて少し先の、負担にならない程度の予定を考えて生きているよ。ゆったり二人でね」

What's GOOD LIFE for you?
目標じゃなくて予定

  • 「何がグッドライフかってまさに今探しているところだよ。ただ、目標とかって大きなことじゃなくて、少し先の予定を立ててそれを楽しみに今を生きるっていうのが俺たちにとっての今のグッドライフかな」

この記事は、2023年11月26日発行の日経REVIVE12月号に掲載された内容です。