最初はコンサートから
|ジャズのライブに行ってみませんか?|
カバー特集
posted by 日経REVIVE
中川ヨウさんの「 ジャズ 」GOOD LIFE
最初はコンサートから
|ジャズのライブに行ってみませんか?|
posted by 日経REVIVE
2026年6月28日

ああ、生きていてよかった!
ジャズを聴くとそう思えます。
ジャズのルーツはアメリカ南部。
厳しい人種差別や貧しさの中で、自由への渇望と自己肯定がその音楽の根底にはあります。
だから素晴らしい演奏は聴く人に元気を与えるのかもしれません。中川さんお薦めの、新シニア世代に聴いてほしいジャズとは?

NAVIGATOR
中川ヨウさん
なかがわ・ようジャズを核に、ポピュラーミュージック全般、ワールドミュージックとジャンルにとらわれない執筆活動を展開し、21世紀の音楽の行方を語れる評論家として高く評価されている。慶應義塾大学アート・センター【拡張するジャズ】公開研究会で、学生、一般のジャズ愛好家とジャズの現在から未来を考察。洗足学園音楽大学名誉教授、ミュージック・ペンクラブ・ジャパン理事。
取材・文/山本由樹(編) アートディレクション/本多康規(Cumu)
ジャズとは生命の肯定。
ライブを見ると元気が出ます!
ジャズといえば、大人のためのちょっとハードルの高い音楽というイメージですが、最近は少し違います。コミック『BLUE GIANT』の大ヒットや、藤井風やKing Gnuなどジャズの影響を受けたアーティストの登場など、最近は若い世代も巻き込むブームになってきたんです。
一方で93歳の渡辺貞夫さんが現役で活躍するなど、ジャズは世代を超えた音楽として愛されています。
音楽評論家の中川ヨウさんにジャズの魅力と、初心者のためのアドバイスを伺ってきました。
「私は子供の頃からライブハウスなどで生の音をたくさん聴いて育ってきたのですが、ジャズはぜひライブで聴いていただきたいと思っています」
中川さんは、ジャズライブの魅力はその場限りの演奏にあると言います。
「ジャズのジャズたる最大の特徴は、即興性=インプロビゼーションにあります。それはその場で作曲するということなのですね。どこかで作ってきたものじゃない、その場でその瞬間にしか出せない音を出している。つまり生涯に一度の作曲をして、その場の観客たちにだけ演奏をしている。とてもぜいたくな時間だと思いませんか?だから私は素晴らしい即興を聴くために、ジャズのライブに行くんです」
音楽配信サービスや、CD、レコードなどの録音された音源でもジャズは楽しめますが、ライブには録音では伝わらない魅力があると、中川さん。
「ライブを見ているとミュージシャン同士が、目で合図をしてコミュニケーションを取っているのが分かります。次はおまえのソロだよと目の合図で伝えたりしている。そういうやり取りもジャズライブの大きな魅力なのです。演劇でもそうですけど、やはり消えてしまうものの美しさというのは、とてつもなく感動的です」
ジャズのルーツはアメリカ南部。アフリカ系アメリカ人たちの生み出したブルースやラグタイムなどがブラスバンドの楽器と融合して誕生しました。
「奴隷解放されてもまだ差別はあるしとても貧しい。そんな歴史の中で育ってきた音楽ですから、ものすごい汗と涙がルーツにはあります。それでも音楽を演奏している時だけは、自分を解放して生きることの勇気を表現する。ジャズは生命の肯定なのだと思いますね。だから聴いていると本当に元気がもらえるんです。私は”おはらい”って言ってますが、いいライブを聴くと日頃の憂さや悩みが消えるんですよ」
最初はコンサートホールから
慣れたらライブハウスも
初めてジャズライブに行くとしたら、どうしたらいいんでしょう?
「ジャズを初めて聴きに行く時に、ためらうことがあるとすれば、音楽のことではないはずなのです。何を着ていけばいいのかとか、どんな振る舞いをすればいいのかとか、そういうことだと思うのです。ですから最初はコンサートホールに行くことをお薦めします。いきなりジャズクラブだとハードルが高く感じるかもしれませんが、コンサートホールだと、お客さんもたくさんいますし気楽にジャズを楽しめますから。ぜひ聴いていただきたいのは、渡辺貞夫さんです。93歳で本当に素晴らしいんです。重いアルトサックスを持って2時間以上立っているだけでも大変なのに、即興性も歌心も、メンバー間のやり取りもとってもいいんです。チケットはすぐに売り切れてしまうので、発売日をチェックして申し込んでくださいね」
コンサートホールに慣れてきたら次はジャズクラブに行ってみましょう。
「ブルーノート東京と、系列のコットンクラブにはおしゃれをして行った方が楽しめます。一人で行くというよりも、すてきな人とすてきな時間を過ごしてください。出演しているミュージシャンも一流ばかり。それと日本のジャズシーンをけん引する新宿ピットインは絶対に外せません。昨年開店60周年のコンサートをホールでやりましたが、日本の名だたるジャズミュージシャンがみんな出演していました。その顔ぶれを見るだけで、ピットインのすごさが分かります。ご自宅の近くにも小さなライブハウスがあるかもしれません。ジャズライブの楽しさを知ったら、しょっちゅう行きたくなりますよ」
毎日のようにジャズのライブを聴きに行く中川さんですが、1日の終わりのジャズも楽しみにしています。
「例えばお風呂に入って、大好きなルイ・アームストロングの『What a Wonderful World』を聴いていると、青い空や白い雲が本当に見えてくる。ああ生きていてよかったなと思わせてくれるんです」
いいライブを聴くと日頃の憂さや悩みが消えるんですよ
Jazz is Energy for Living!

おしゃれをしてジャズを楽しむ。
夫婦や大切な人とすてきな時間を。
おしゃれをして行きたい、とてもぜいたくな雰囲気のジャズクラブです。海外の一流ミュージシャンが入れ替わりで出演します。食事をしてもしなくても、お好みですが、食事をする場合は早めに来て、ライブの前に終わらせた方が音楽を楽しめます。

- ブルーノート東京ニューヨークに本店がある伝統のジャズクラブ。世界的なアーティストが出演。
東京都港区南青山6-3-16
03-5485-0088
公式サイト

日本のジャズシーンの聖地。
最高のミュージシャンが出演しています。
創設者の佐藤良武さんの「音楽について注文を付けたことがない」という覚悟が、この自由で熱いライブハウスをつくったのだと思います。朝、昼、晩と1日3回ライブがありますが、昼の2時から始まる「昼ピット」は、お値段も安くてお勧めです。
新宿ピットイン日本のジャズをけん引する老舗クラブ。毎日熱い演奏が繰り広げられる。
東京都新宿区新宿2-12-4アコードビルB1
03-3354-2024
公式サイト

気鋭のジャズミュージシャンだけでなく、
ジャズ以外のライブも開催。
ブルーノート系列のジャズクラブですが、ブルーノートよりも少し小さく、アーティストをより近くで見ることができます。日本の気鋭の若手や、ポピュラー界のアーティストをブッキングするのも、コットンクラブの特徴です。

- コットンクラブR&Bやポップス、J-POPアーティストまで多彩なアーティストが出演。
東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビルTOKIA 2F
03-3215-1555
公式サイト

大切なのは自分に聞こえるように声に出して言うこと。本当に幸福なんだと実感できるんです(笑)。そして心臓とおなかの辺りをさすって、「今日もよろしくね」と挨拶するようにしています。

どんな小さなことにも幸福を感じることができれば、毎日幸せでいることができます。幸福のハードルを下げておくことができるといいですね。
What's GOOD LIFE for you?
幸せを感じられる人生
10年ほど前に大病をしたことで、”普通の日々”が十分に幸せだと思うようになりました。そして毎朝の「幸せ~」を漏れ聞いた夫が、より優しくしてくれるという相乗効果もあります(笑)
中川ヨウさんとジャズ
私の音楽/ジャズのルーツは、父が運営していた児童養護施設のブラスバンドにあります。「親御さんのいない子供さんたちに、自信を持ってもらう方法はないか」と父が発案し、結成したブラスバンド。幼少期、そこでマスコット指揮者をしていたのです。学園の皆さんがバンド練習を楽しみ、喜々として演奏の機会に臨むのに接し「音楽には大きなパワーがあるんだなぁ」と感じ入りました。そして、音楽の素晴らしさを人に伝える仕事に就きたいと思うようになったのです。
左:世界中で人気のピアニスト上原ひろみと。中央:クラシックとジャズ、双方で素晴らしい角野隼斗と。右:ベースのロン・カーターと。89歳にして現役のレジェンド。
この記事は、2026年6月28日発行の日経REVIVE7月号に掲載された内容です。
取材裏話
7月号「 ジャズ 」中川ヨウさん
今回のナビゲーターは音楽評論家の中川ヨウさん。大御所から若手プレーヤーまでネットワークをお持ちです。中川さんお薦めに出てきた日本人若手ミュージシャン、私は初めて耳にした名前ですが、バックボーンは本当に多彩です。新橋のフロリダ、赤坂のニューラテンクオーター、には子供時分にお父様と一緒に出入りしていたとのこと。2026年9月末で渋谷のボディ&ソウルが閉店。伝説になる前に出かけてみませんか?
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