睡眠に悩む新シニア 増えています
|最近ぐっすり眠れていますか?|
カバー特集
posted by 日経REVIVE
友野なおさんの「睡眠」GOOD LIFE
睡眠に悩む新シニア 増えています
|最近ぐっすり眠れていますか?|
posted by 日経REVIVE
2026年4月26日

良質な睡眠に必要なのは
時間よりも熟睡感です
睡眠に悩みを抱える新シニアが増えています。
夜中に何度も目が覚めてしまったり、長時間寝ても眠りが浅かったりして、十分寝たはずなのに、目覚めた時にはもう眠い。そんなすっきりしない眠りは夜の習慣を整えて良質な睡眠に変えましょう。
NAVIGATOR
友野なおさん
ともの・なお医学博士/睡眠コンサルタント。自身が睡眠を改善したことにより、体質改善にも成功した経験から、睡眠を専門的に研究。日本公衆衛生学会、日本睡眠学会の正会員。行動療法からの睡眠改善、快眠を促す寝室空間づくりを得意とし、全国での講演活動、企業の商品開発やコンサルテーション、執筆活動などを行う。株式会社SEA Trinity代表取締役
撮影/長野陽一 取材・文/山本由樹(AMU)
アートディレクション/本多康規(Cumu)
良質な睡眠は人生の質も上げます
最近、よく眠れていますか?
すっきり目覚めていますか?
睡眠は毎日の生活や健康に直結し、「QOL=人生の質」に関わる問題でもあります。今回はよく眠れない原因とぐっすり眠るための習慣を、睡眠コンサルタントの友野なおさんに教えていただきました。
―新シニア世代に増えているという不眠の原因について教えてください。
友野さん(以下、敬称略) 本当に睡眠の悩みは10人いたら10通りの違いがあるのですが、今回は一般論としてお話ししますね。まず加齢とともにメラトニンという睡眠ホルモンの量が、減ってきてしまうことが主な原因の1つです。減少に伴って睡眠の質も下がってしまいます。また持病をお持ちの方は、その影響で断続睡眠になってしまったり、薬の副作用で質が低下することも考えられます。あと意外と意識されていないのが、退職してしまうと、社会との接点が減ってしまうことです。通勤がなくなるので日中の運動量が減り体は疲れなくなりますし、人に会わないので頭も疲れません。日中に十分疲れ切らないと、ぐっすり眠れませんから。
―ベッドで横になっている時間はきちんと取っているのに、朝すっきりしない理由は何ですか?
友野 睡眠の質が低いからです。睡眠の質とは熟睡感と言い換えてもいいです。睡眠の質と量(時間)は、両方とも大切なのですが、どちらによりフォーカスした方がいいかというと、量よりも質の方がより大切だという研究が報告されています。睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠という、全く性質が異なる2つの睡眠があって、その2つが入れ替わりながら朝を迎えていくというリズムがあります。最初にノンレム睡眠、つまり深い睡眠が集中的に現れて、後半はレム睡眠、浅い睡眠が多く出現します。このメリハリのあるリズムが保たれている状態が、睡眠の質が高いと呼ばれるものです。残念ながら現代の日本人の睡眠は、あまりメリハリがない、1本線に近いような、なだらかなウエーブの睡眠リズムの方が多いんですね。それは、質の低い睡眠ということになってしまいます。

世の中には自分と違う考え方や意見を持っている人がたくさんいて、自分自身の考え方だけでは解決できない時に、人の話を聞くと新しい発見や学びがあることを大切にしています。
人生を80年とすると
約25年間は眠っているんです
昼には昼らしく活動的に
夜は夜らしく安静に
―睡眠の質を上げるために、大切なことは何ですか?
友野 1つ目は、生活のメリハリをつけること。朝や昼は明るく行動的に、夕方から夜にかけては暗めの部屋でなるべく安静に過ごす。光と活動量のメリハリを日中と夜でしっかりつけていくことが基本のキです。2つ目は起きる時間を一定にすること。休日に寝だめはしないでください。夜遅くに寝た日でも、いつも通りの時間に起きてください。その日は寝不足になってしまうと思いますが、それでオッケーなんです。眠ければ早い時間に寝ていただくと、体のリズムが戻ってきます。
―昼寝はいかがですか?
友野 昼寝は15時までに15分から20分程度、60歳以上の方であれば30分程度が理想的といわれています。1時間以上と長く寝てしまうと、認知症のリスクが上がるといわれていますので、短時間で熟睡しないことが大切です。昼寝の姿勢もベッドやカウチに横にならずに、座った姿勢のまま寝る。電車でうとうとするのが実は理想の昼寝なんです。あとは私がおすすめする5つの生活習慣(コラム#1から#5)をご参考になさってください。
実は私自身が重度のパニック障害だったんですが、ある時母が「とにかく寝なさい」と言ってくれたんです。病気の影響で熟睡できなかったので、いろいろ調べて試行錯誤して、眠ることを意識していたら、ちょっとずつ回復していったんですね。アトピー性皮膚炎にも悩まされていたんですが、それもすっかり治ってしまい、睡眠の大切さを身をもって知ったんです。良質な睡眠は人生の質を上げます。生活習慣を変えてぐっすり眠ってください。

私の入眠儀式はベッドの中でその日にあった「良かったこと」を思い出すこと。小さなことでいいんです。今日はあのケーキがおいしかったな、とか。だんだん安静な気持ちになり眠くなります。
気持ちを穏やかにリラックス
自律神経が整っていきます

ハーブティーやルイボスティーを冬でも寝ている間にコップ1杯分の水分が寝汗として出てしまいます。夏場はなおさら夜間熱中症のリスクも高まりますから、水分は補給してください。ノンカフェインのハーブティーやルイボスティーがおすすめです。


血行促進効果のあるパジャマをリカバリーウエアのパジャマは寝ている間に血行促進効果があり、疲労回復が期待できます。選ぶ時には手ざわりのいい柔らかい素材がおすすめです。睡眠時間を睡眠以上の時間にするための価値ある健康法だと思います。


締め付け過ぎないあったか靴下を手足が温まってくると眠くなるのは体の重要なメカニズムです。特に新シニア世代になり筋肉量が少なくなってくると、体が発生する熱が少なくなるので、睡眠のための暖かい靴下を着用してはいかがでしょうか?


ベッドで読む本は子供用をベッドでスマホは論外ですが、読書はとてもおすすめです。ただ内容の過激なものは目が覚めてしまいますから、子供用の絵本などを6分~10分程度読むといいでしょう。行きたい旅先のガイドブックなどもいいですね。

ピローミストでリラックス専門用語では入眠儀式と言うんですが、眠る前に枕に香りのいいピローミストを吹きかけることを習慣化すると、その香りを嗅いだだけで自分はオフでもう寝るだけだと、脳に条件反射が起こるようになるのです。

What's GOOD LIFE for you?
心に余白を持つこと
- 自分の正解を正義にしないことを、日頃から心がけています。誰かを否定する言葉ではなく、受け入れる心の余白が大切じゃないでしょうか? そうすると小さなことで思い煩うことが減ってきますよ。

この記事は、2026年4月26日発行の日経REVIVE5月号に掲載された内容です。
取材裏話
5月号「睡眠」友野なおさん
私は夜のスポーツジムの後、疲れて眠いと思いきや、むしろ脳が活性化して眠れないことがよくあるのですが、午後9時以降は活動を控えるオフモードにすべきとのアドバイスをいただきました。夜は休息、昼はアクティブに、のメリハリにつながります。友野さんの入眠儀式、その日によかったことを思い出すは、本当に些細なことでよいのです。1つ目、交差点についたら信号が青だった、2つ目、この仕事で○○さんに出会えたとか。カウントしていくと41番あたりでは眠くなってくるとのこと。41個もあるのか?ですが、すべてにポジティブな気持ちを持つことも大切です。
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