コラム

ART

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八王子市 東京富士美術館にて開幕

印象派 モネからアメリカへ
-ウスター美術館所蔵-

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2024年07月17日

『印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵』開幕前日の内覧会を取材しました。
2024年7月6日(土)から9月29日(日)まで東京・八王子市 東京富士美術館にて開催。
今年、東京都美術館でも開催された巡回展です。

パリからアメリカへ。19世紀後半、大都市パリには国外からも多くの画家が集いました。パリで印象派に触れ、学んだ画家たちは新しい絵画の表現手法を自国へ持ち帰ります。アメリカ・ボストン近郊に位置するウスター美術館から来日した出品作品のほとんどが日本初公開。フランス印象派を代表する画家たちの作品はもちろん、アメリカの印象派代表する画家ハッサムらの作品が一堂に。
その見どころをご紹介します。

展覧会概要はこちらから

展示構成

展示室に入ってすぐのエリアには、睡蓮の池に没入できるような空間が広がります。
東京富士美術館にしかない仕掛けです。

第1章: 伝統への挑戦

急速に近代化が進んだ19世紀に活躍した画家たちが伝統的なアカデミック絵画に対抗して新しい主題や技法で描いた作品が紹介されています。バルビゾン派を代表するコローやトロワイヨンの描いた自然の風景や、アメリカではじめての流派であるハドソン・リバー派の父と呼ばれたトマス・コールによる崇高で写実的な風景がを観ることができます。

第2章: パリと印象派の画家たち

モネ、モリゾやピサロ、ルノワールなど代表的な画家の作品が並びます。
この章の目玉作品は展覧会ポスターでも大きく使われているモネの睡蓮です。今作は1908年、モネが68歳の時に描かれ、その2年後にウスター美術館が購入した作品です。美術館としてモネの睡蓮を購入したのは、世界で初のことでした。モネは当時、前衛的な芸術として認識されていました。本展を監修したウスター美術館のクレア・ホイットナー学芸部長は、数あるモネの睡蓮の中でもこの作品が特に前衛的なのは、画面の中心に何も描かれていない点。モネは伝統的な絵画からはるかに逸脱した構図だと評します。
もうひとつの目玉は、チャイルド・ハッサムの「花摘み、フランス式庭園にて」。ハッサムは、27歳でパリに留学し、印象派の技法を身に着けて帰国しました。その後、アメリカ印象派の画家となり、75歳でなくなるまで約3,000点の作品を制作。アメリカのモネと呼ばれました。ハッサムの作品はアメリカ大統領の執務室にも飾られているそうで、アメリカで愛されている画家のひとりです。

第3章: 国際的な広がり

この章では、海を渡って広がった印象派を紹介しています。
印象派は日本美術から影響を受けたことが知られていますが、当時フランスに留学していた日本人画家たちがその印象派の影響を受け、日本の洋画界に革新をもたらしました。
出品作品のひとつである黒田清輝の「草つむ女」は、東京富士美術館の所蔵。ウスター美術館のマティアス・ワシェック館長から「西洋と日本、双方のグローバルな交流の力が働いていることがこの1枚でわかる」とお気に入りの1点として選ばれた作品でもあります。

第4章: アメリカの印象派

この章は近代化するアメリカの都市や家庭の情景、田舎の自然など、アメリカらしい主題を選び、独自の様式へと昇華させていったアメリカの印象派作品を紹介しています。

第5章: まだ見ぬ景色を求めて

最後の章ではシニャックやセザンヌの作品の他、徐々に抽象的な表現へと移り変わったアメリカ印象派の作品、また南北戦争の混乱が続く中、人々の心に安らぎを与えていた風景画、そしてアメリカ西部の未開の地へ分け入りアメリカの大自然を描いた作品などを展示しています。デヴィット・パーシャルの「ハーミット・クリニーク・キャニオン」は、画家が初めて見た感動をキャンバスにとどめるかのように描かれた作品です。荒く素早い筆致は印象派の技法を用いており、神々しいまでに壮大なグランドキャニオンを描いた作品は、アメリカ印象派の真骨頂といえます。

※画像写真の無断転載を禁止します

印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵

アメリカ・ボストン近郊に位置するウスター美術館の印象派コレクションを中心に、これまで日本で紹介される機会の少なかった、知られざるアメリカ印象派の魅力に触れていただく貴重な機会となります。

<開催概要>

会期:2024年7月6日(土)- 9月29日(日)
会場:東京富士美術館 〒192-0016 東京都⼋王⼦市⾕野町492-1
休館日:毎週⽉曜⽇、7⽉16⽇(⽕)、8⽉13⽇(⽕)、9⽉17⽇(⽕)、9⽉24⽇(⽕)
(7⽉15⽇、8⽉12⽇、9⽉16⽇、9⽉23⽇は開館)
開館時間:10:00 – 17:00(16:30 受付終了)
主催:東京富⼠美術館、⽇本テレビ放送網
後援:アメリカ⼤使館、⼋王⼦市、⼋王⼦市教育委員会
協賛:光村印刷
協力:NX 日本通運
ホームページ:https://www.fujibi.or.jp/exhibitions/1202407061/
お問合せ:042-691-4511