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この街の今、昔

東京都現代美術館と横尾忠則の最初 編

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2021年09月26日

東京都現代美術館のある
木場公園は元貯木場

石丸幹二さんが訪れた東京都現代美術館は木場公園の北側にある。開館したのは1995年(平成7年)3月で、上野の東京都美術館から引き継いだ現代美術コレクションを中心に、企画展も活発に開催されている。木場公園のある場所はもともと、江戸時代からの木場=貯木場のあった所で、縦横に掘割(運河)が張り巡らされ、たくさんの材木が浮かべられていた。しかし東京五輪が開催された1964年(昭和39年)ごろから、周辺が住宅地、商業地となり、木場を移転させることが決定。1969年(昭和44年)に荒川の河口に近い埋め立て地に新木場ができた。材木業者が移転した跡地は東京都が買い上げ、公園にすることになった。掘割は埋め立てられ川の町だった木場の面影はなくなってしまった。

あまり知られていないが、木場公園の地下には都営地下鉄大江戸線の車庫がある。南北600メートルにも及ぶ巨大空間で、木場公園を歩くと、換気のための建物がある。興味のある方は探してみては ?

5歳にして才能を発揮
横尾忠則の幼少期の作品

1980年(昭和55年)にグラフィックデザイナーから画家になる決意をして以降の、おびただしい作品の数々を見ると、あふれ出る才能を感じずにはいられない。でも最も異彩を放っているのは、横尾さんが5歳の時の作品かもしれない。

「武蔵と小次郎(模写)」と題された作品は、講談社の絵本「宮本武蔵」に掲載された日本画家・石井滴水の絵を模写したもので、 5歳とは思えない画力に驚きを禁じ得ない。巌流島の対決を描いた原画には、右の小次郎の足元が紙面の下端で切れていて描かれていない。5歳の横尾少年は、同じ本の他のページに描かれていた別の人物の足を描き写して、小次郎の足首から先を完成させたという。横尾芸術の特徴ともいわれる「模写」と「コラージュ」という手法が、幼少期の作品にも反映されている点からも、芸術家の出発点として貴重な作品だ。

「武蔵と小次郎(模写)」。この作品を描いたのは1941年(昭和16年)ごろ。しっかりとした描線に、早熟の才が現れている。

参考文献 「GENKYO 横尾忠則 Ⅱ Works」(国書刊行会)、「ぼくなりの遊び方、行き方横尾忠則自伝」(ちくま文庫)、「加藤嶺夫写真全集 昭和の東京4 江東区」(デコ)

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