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年を重ねて生まれる深みを装いに取り入れて

大人の男女のおしゃれ

カバー特集

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干場義雅さんが選ぶ 大人の冬アイテム

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2020年12月13日

日経REVIVE 2021年1月号カバー特集 干場義雅さん

長く愛用できる
上質な品を大切な人に

クリスマスやお正月など、大切な人たちと過ごす時間が増える年末年始はギフトシーズン。今回はファッションディレクターの干場義雅さんが大人の男女に似合う冬のアイテムを提案。

成熟したおしゃれを目指すためのポイントについても指南してもらいました。

テーラーの息子です

NAVIGATOR

干場義雅

ほしば・よしまさ1973 年東京都生まれ。「FORZA STYLE」編集長。3代続くテーラーの家に誕生、20歳から雑誌編集者に。人気男性誌を手がけるかたわら、ファッションに対する深い見識を生かし、書籍の執筆やメディア出演、ブランドプロデュースなど多方面で活躍。「色気力」(集英社文庫)が販売中。

撮影/川原﨑宣喜 取材/木内アキ(編) 編集/森本亮子(編)
アートディレクション/本多康規(Cumu)

大人のおしゃれに一番大切なのは、
健康と清潔感。いいものを買って
長く使うのがおすすめです

ギフトとして喜ばれ、1年間を頑張った自分へのご褒美にもなる大人の冬のアイテムを探す今回。干場さんと待ち合わせたのは、イタリアの伝統技術を用いたもの作りに定評があるブランド「ブルネロ クチネリ銀座店」です。

日経REVIVE 2021年1月号カバー特集 干場義雅さん2

 「きちんと作られた〝いいもの〞は高価ですが、素材が上質で機能性も考え抜かれています。使う人に『長く使えるし、本当に使い心地が良い』と実感してもらえるので、贈ると心の距離をグッと縮めてくれますよ。僕が着ているスーツは十数年ものですが、傷みを直しながら大切に着ることで愛着も深まるし、『これを着てミラノ出張に行った日、寒かったなあ』といった人生の思い出も刻まれています。つまり、〝いいもの〞は喜ばれるだけでなく、大切な人と人生の記憶を共有するのを助ける役割も果たしてくれるんです」

 柔らかなカシミヤのニットや、滑らかになじむ革のグローブ。洗練された小物がたくさんある店内にいると、ついつい目移りしてしまいそう。

 「ギフトの場合、ベージュやネイビー、黒などベーシックな色を選ぶと『相手に似合わない』という心配がありません。例えばグレーのカシミヤニットは、若者が着るより白髪やシワが出てきた大人が着ると成熟した味わいが表れてカッコいい。身につける人の内面を引き立てることが、シンプルで上質なアイテムの魅力だといえます」

日経REVIVE 2021年1月号カバー特集 干場義雅さん3

 喜ばれるギフトとして干場さんのいちおしは、首元を彩るアイテムです。

 「男性なら上質なウールのネクタイがおすすめです。外した後に、軽くスチームをあてるだけでシワが取れる機能性がある上、日々の使用に耐える堅牢(けんろう)性もあります。合わせるスーツの色を選ばないネイビーや定番色のグレーは1本持っていて損はないですね。また、女性にはカシミヤやウールを使った軽やかなストールはいかがでしょうか。使いやすいカラーはコーディネートの幅も広く、シックに見えるグレージュ。ほかにも今回ご紹介した『ロロ・ピアーナ』や『トッズ』などをのぞいてみると、大人のおしゃれを体現する上質な1品が見つかると思いますよ」

Brunello Cucinelli Ginza
ブルネロ クチネリ銀座店

日経REVIVE 2021年1月号カバー特集 干場義雅さん3

素材そのものが持つ色を大切にしたニュートラルなカラー展開も特徴。「優しい色合いなのでどんな方にもなじむと思います。上質なだけでなく、販売を通じて地元の村に学校や劇場を造るなど、関わる人たちの幸せを目指す姿勢もこのブランドの魅力ですね」

 

WOMEN’S /ブランドの象徴でもあるカシミヤセーター12万6500 円、きらめく飾り〝モニーレ〟を使用したIDホルダー6万9300円、 フレグランスと陶器製のディフューザーのセット5万6100円、職人 の技術でスパンコールを織りこんだストール11万5500円。

MEN’S/風合いが魅力のウールネクタイ2万6400円、内側に使ったニッ トが優しく手になじむカーフスキンのグローブ14万3000円、リバ ーシブルのシルクのポケットチーフ各3万800円(全て税込み)。

※取材当時の情報です。

身につけた経験や知性を
着こなしで表現する

大人としてすてきな着こなしを身につけるのに大切なポイントは?

 「おしゃれは自分のため以上に、相手のためでもあります。例えば『スーツ』というスタイルを選ぶときは、招いてくださった方々に敬意を表す意味があります。そういう服をチョイスすることで相手に信頼してもらえ、結局は自分にも真摯な対応を取っていただける結果に。服選びに迷ったときは『T.P.P.O.S.=タイム(いつ)、プレイス(どこで)、パーソン(誰と)、オケージョン(状況)、スタイル(着こなし)』の5項目を意識して選ぶと、大人としての服選びが身につくヒントになるのではないでしょうか」

 どんな装いをするのか考える前に、押さえたいポイントがもうひとつ。

 「年を重ねるにつれ、人は経験や知性を身につけて内面の魅力が増していきます。しかしそれに反比例するように顔にはシミやしわができ、身体はゆがんできます。そうなったとき、『何を着るか?』の前に問われるのが清潔感や身だしなみです。残念ながらこれらを服でごまかすことはできないんです」

シューズ各7万400円、キーケース3万9600円、ミニ財布4万2900円、長財布各5万600円、ジップ付き長財布6万4900円(全て税込み)
※ 2020年12月に取材を実施したため、現在お取り扱いのない商品もございます。

 生活を見直し、自分をケアすることがすてきに洋服を着こなす出発点。

 「まずはバランスのいい食事を取り、生活を整えて肌や髪を健康にする。その上できちんと髪や歯を手入れし、清潔に整える。自分の土台をそうやって磨いていけば、シンプルな服を着ていてもなぜか華やかに見えますし、『きっと内面も魅力的な人なんだろうな』という印象にもつながっていきます。僕が目指したい大人のおしゃれは、その人自身が輝くスタイルなんです」

HOSHIBA’s RECOMMEND

MINIMAL WARDROBEミニマルワードローブ

干場さんプロデュースのオンラインセレクトショップ。着心地が良く上質で、毎日のように着られる”究極の普通”の洋服を厳選している。
https://minimalwardrobe.jp/で購入可

MINEDENIMマインデニム

人気スタイリスト野口強氏がディレクションする国産デニムブランド。職人の手による美しいシルエットと、快適なはき心地が人気の秘密。
https://minedenim.co.jp/で購入可

この記事は、2020年12月13日発行の日経REVIVE1月号に掲載された内容です。

取材裏話

1月号「おとなのおしゃれ」干場義雅さん

定番の濃いグレーのスーツにサングラスで撮影現場、銀座ブルネロクチネリに現れた干場さん。背が高くスリム、銀座の街並みになじむオーラが自然と醸し出されていました。紙面で紹介するアイテムは、あまり高額なものは控えてほしいと事前にお伝えしていたこともあり、ショップスタッフがすすめるアイテムに「これはいくらですか?」と都度おたずねしていただきました。気を使っていただきありがとうございました。

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